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短編No101 夕映物語-B 分岐Aルート

 
作者:葱坊主 ◆tHHIOImW4w
掲載日時:2008/03/14(金) 23:19:45
ネギま! バトルロワイヤル


<7A>【分岐A】
「それだけ……なのですか?」
「フッ、まだまだ私のことが良くわかってないねーゆえ吉君。私の行動原理は面白いか面白くないか。ただそれだけだよ?」
夕映の握っていた拳がぶるぶる震える。
「たった……たったそれだけの理由でクラスの皆を犠牲にしたって言うのですか!?」
「まあね」
ニヤついた顔でハルナは答える。
心を落ち行けようと夕映は大きく息を吐く。
「……良くわかりました。貴方は人として大切な心を失ってしまったようですね」
「人として大切な心ね……フン、くだらないわね。そんなものは幻想でしかないわ!」
その言葉に夕映はキレた。

握り締めていた拳銃をハルナに向ける。
同時にハルナもいつの間にか手にしていた拳銃の銃口を夕映の方に向けていた。
互いに銃を向け合ったまま、時が流れる。

沈黙を破ってハルナが口を開いた。
「でもね、それだけじゃあないよ?
 カモ君に協力しなかったら私もゆえと同じようにクラスメートと殺し合いをさせられていたんだからね」
「今さら言い訳ですか?」
自嘲気味にハルナはため息をつく。
「カモ君の話をちゃんと聞いていた?クラスの中で生き残ることができるのは一人だけだって言うこと。
 今、3−Aの生徒で生き残っているのは私とゆえの2人。私だって例外じゃあないのよ?」
「……どういうことです?」
「ゲームを滞りなく運営するためにカモ君に協力したことの報酬がこれだよ。
 私を除いた生徒達で一人になるまで殺し合いのゲームをしてもらう。
 私はゲームの優勝者と殺し合い、勝つことができれば私が生き残れるのよ。
 ……まだゲームは終わっちゃいないのよ」

ハルナの言葉を最後に、2人の間に緊張が走る。
動いたのは同時だった。
夕映は横に飛び、ハルナは前に出る。

パァァ―――ン!

重なった銃声が狭い部屋の中に響いた。




<8A>【分岐A】
「グウッ!」
夕映は左腕を撃ち抜かれて片膝をつく。
撃たれた左腕を押さえる。ドクドクと血が噴出し、制服の左の袖が赤く染まっていく。
その間、ハルナは両目を見開き、銃を構えた状態で立ったまま動かなかった。
夕映は顔を上げハルナの方を見た。
ハルナの額には小さな穴が一つ開いていた。そして、ハルナの体がゆっくり横へ傾くと、ドウッと床に倒れこんだ。
夕映は大きく息を吐くとゆっくりと立ち上がり、倒れたハルナの側まで近寄る。
悲しい目でハルナの姿を見下ろす。

「結局、ゆえっちの優勝かー、ハルナ姉さんも最後にゃあ非情になりきれなかったな。
 今度こそ、間違いなくあんたが本当の優勝者だよ、ゆえっち」
夕映はカモの言葉など耳に入らなかった。
銃口をカモに向けると引き金を引いた。
ギャッ!という悲鳴と共に小さなカモの体は飛び散った。
部屋の中が静かになった。夕映はその場で銃を投げ捨てた。


耳を澄ますと、外からヘリのローター音が聞こえてくる。
誰かが迎えに来たのだろうか?
夕映は校長室を出ると、屋上に上がって空を見上げる。
上空を飛んでいるヘリが夕映の方に近づいてくる。
ヘリから一人身を乗り出して夕映の方に手を振ってくる。その人の姿には見覚えがある。
「……ネギ先生」
自分の担任が助けに来てくれたようだ。

夕映の頬に涙が伝った。
袖でぐっと涙を拭うと夕映はヘリに向かって大きく手を振った。

【分岐A】END
 

    [管理人の短編一言感想集] その101-B
    夕映が主役の短編。
    ハルナが黒幕というアイディアが良い。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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