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短編No98 勇気ある反乱

 
作者:スレ汚し
掲載日時:2008/03/05(水) 19:19:11
ネギま! バトルロワイヤル


これは残酷な「プログラム」を、完全に廃止させるまでに至らせた少女達の、勇気ある姿を描いたものである。


「プログラム開始から23時間経過‥。死者は‥未だ0人です」
「そうか‥」
「あの‥放送は‥?」
「‥‥‥最早定時放送する意味も無いだろう」
「分かりました‥」



静寂が支配する教室。暗闇の中で3年A組の生徒達は、頭を中心に向けて円状に仰向けに寝転んでいた。
あと5分でプログラムが始まってから24時間が経つ。
同時に、参加者全員の命が絶たれる。
このプログラムにはルールがあった。
24時間以内に死者が一人も出なかった場合は、参加証代わりの首輪型の爆弾が弾け飛ぶ。
無論全員のがだ。
けれども、3-Aの生徒達は最後まで殺し合いを拒んだ。

友を手にかけるぐらいなら、自らの命を捨てる。

プログラム開催場所は麻帆良学園だった。故に最後の一時はみんな一緒に過ごそう、と31人は自分達が愛した教室に集まったのだった。

あと300秒もせずに、彼女達の短い人生は終わる。
否、終わらされる。





「史伽」
「お姉ちゃん」
「ぼく、生まれ変わったら‥また史伽のお姉ちゃんになりたい」
「私も‥またお姉ちゃんの妹になりたいです」
「‥‥」
「‥‥」
「今まで、ありがとう。史伽」
「これからもずっとよろしく。お姉ちゃん」


「夏美、知ってる?人はね、死んだら星になるのよ」
「うん‥」
「そしていつまでも夜空に輝き続けるの。私達のこと忘れないで、って」
「うん‥」
「私達が星になったら、必ず隣り同士になりましょう。そして一緒に光りましょうね」
「う‥ん‥」
「悲しいの?夏美」
「ううん‥違うの‥。‥‥嬉しいの。ありが‥とう、ちづ姉‥」
「どう致しまして‥‥」





「結局、お前とは決着が付かなかったな」
「まあ、良いではごさらぬか。決着よりも大事な何かを‥」
「手に入れた‥だろ?」
「ふふ、お主も変わったでござるな」
「ああ、不思議と悪くない」
「‥もし叶うのなら、お主とは、いつかどこかで再会したいでござる」
「奇遇だな。私もだ」
「その時にでも」
「決着を付けよう。約束だ」
「‥やっぱり、お主は変わらないでござるな」


「‥美砂。円」
「何?桜子」
「‥‥私、二人と親友でいられて良かった。ありがとう」
「‥こっちこそ、ありがとう。私、あんたも円も大好き。本当に‥大好きなんだから」
「二人のおかげで、毎日が楽しかった。二人のおかげで、私はこんなに笑えた‥」
「‥ゴーゴー美砂!」
「ファイトファイト円!」
「頑張れ頑張れ桜子!」
「「「We are No.1!」」」





「あーあ‥。終わっちまうのか‥私の人生」
「大丈夫っすよ。人間は生前に善行を積んどけば、生まれ変わることが出来るらしいっす」
「善行ね‥ちっともしてねえや」
「言っといて難なんすけど、結局大事なのは善行したかじゃなくて、楽しく生きられたか、じゃないすか?」
「‥そうだな。非現実的ですげえイライラしたけど‥‥楽しかった。この一年は、楽しかった」
「私も楽しかったっすよ」
「‥‥‥ザジも‥楽しかった」
「いたのか!?」
「ザジ‥みんなに会えて‥‥良かった」
「ははは、だったらそれでオールOKっすね」
「‥ネギ先生‥‥‥頑張れよ」


「私ね、ネギくんが好き。だけどね、ゆーなと亜子とアキラも、私大好きだよ」
「うち‥ほんまに嬉しかった。みんなと一緒に過ごせて」
「私達いっつも一緒だったね」
「うん。一緒に笑って、一緒に泣いた」
「一緒に遊んで、一緒におしゃべりした」
「なあ、これからもずっと‥ずっとずっと‥一緒におってな」
「勿論だよ」
「我ら運動部四人組、その絆は永遠なり!」
「ありがとうみんな。さよなら‥ネギくん」





「マスター、やはり再生は‥」
「無理なようだ。まあ良い。生きるのにも少し飽きてきた所だ」
「‥マスター、この3年A組はどうでしたか?」
「ふん‥ガキみたいなやつらが好き勝手ギャーギャー騒ぐ、耳障りなクラスだったよ。‥‥‥だが」
「だが?」
「居心地は良かった」
「‥私もです」
「さて、お前ともそろそろお別れだな。世話になった」
「いえ、私はマスターのミニステルマギ。何処へでも着いていきます」
「‥いいだろう。お前だけは特別だぞ」
「もったいなきお言葉」
「‥‥‥ナギよ。先にいってるぞ‥」





「まったく、あっけない一生だたネ」
「私は楽しかたアルヨ。超と会えたから」
「私も超さんに会えて良かったです」
「古‥、五月‥」
「私もですよ。超さん」
「‥ハカセ、科学者は明確な理由のもと発言するものヨ」
「理由‥‥。超さんといると、楽しかったから」
「私もアル。超、お前は私達の親友アル!」
「親‥友‥?」
「はい。掛け替えのない、大切な親友です」
「フフフ‥そう思てくれる人達がいるだけでも、私の人生、結構有意義なものだたかもネ。未来で一人でくたばるよりは、よっぽどマシな死に様ヨ」
「‥また、会えますよね?」
「ああ、いつか‥みんなでまた会おう!」


「のどか。ハルナ。あなた達が私の心に光を灯してくれました。感謝しても、しきれません」
「‥私もね、二人がいなかったら、今の私は無いと思う。夕映。ハルナ。‥ありがとう」
「ふふ‥改めて言うと、恥ずかしい言葉ね。二人とも、ありがとう。また三人で、一緒に本読もうね」
「‥夕映」
「のどか」
「私、ネギ先生が好き」
「私もです‥」
「ネギ君、私達のこと忘れないでね‥」





「さよちゃんはどうするの?」
「‥‥‥朝倉さんがいない世界に、私がいる理由はありません」
「そっか‥」
「朝倉さん」
「何?」
「私、朝倉さんのこと‥大好きです」
「私もだよ」
「だからずっと‥ずっとずっと‥‥‥側にいちゃダメですかぁ‥‥?」
「‥さよちゃんなら良いよ。一緒にいこっか」
「あ‥ありがとうございます」
「さよちゃん」
「はい?」
「‥‥大好き」


「せっちゃん‥。うち今まで、せっちゃんに迷惑ばかりかけてもーたなー」
「いえ‥その様なことは‥」
「うち、怖かった。迷惑ばっかかけて、いつかせっちゃんに嫌われるんやないかと‥」
「‥‥」
「でもな、せっちゃんはいつも嫌な顔一つせんで、うちのこと守ってくれた。うちはそれが嬉しくて‥嬉しくて‥‥」
「私は」
「‥?」
「このちゃんにそう思ってもらえてることが、一番嬉しかった」
「‥せっ‥ちゃん」
「もう、この手は放しません。私が、この先もずっと‥お嬢様をお守りします」
「‥‥ありが‥とな」





「長かった腐れ縁も」
「いよいよ終わりね」
「思い返すと、私の大切な思い出は、いつもあなたとのものばかり‥」
「いいんちょ‥」
「これで最後だからいいます‥。アスナさん、私のお友達になってくれて‥ありがとうございます」
「‥私もね、あんたに会えて良かった。喧嘩もしたけど、本音で話せたのはあんただけよ」
「‥‥‥ネギ先生、悲しむでしょうね」
「‥そうね。あいつのことだから、結局泣いちゃうかな」
「‥責めて、もう一度お会いしたかった‥」
「‥‥会えるよ」
「え?」
「ネギの心の中に、私達は生き続けるから‥」
「‥‥そう‥ですわね」


あと10秒。
あと10秒で彼女達は死ぬ。
けれど
「この二年間の素敵な思い出達は、決して消えたりしない」

『今日からこの学校でまほ‥‥英語を教えることになりました ネギ・スプリングフィールドです』
『なんと!2-Aがトップじゃ!!』『や‥‥やったーッ』
『‥‥なぜ助けた?』『え‥‥だ だって‥エヴァンジェリンさんは僕の生徒じゃないですか』
『ぐっ‥』『これがぼくの力だ』
『あんたのちゃんとしたパートナーとして見て ネギ』『ア‥アスナ‥さん‥』



『小太郎君 僕‥「魔法剣士」にすることにしたよ‥‥』
『よぉ お前がネギか?』『と‥‥う‥さん』
『さあ‥それで どうするネギ坊主?』『‥‥‥‥今度こそ‥‥あなたを止めます 超さん!!』
『これからも僕は同じコトで悩み続けると思います ふっ切ることもできない だから‥僕は‥この僕のまま前へ進みます』


あと5秒。
生徒達は互いの手を固く繋ぎ合う。
決して離れないように。
ずっと一緒にいられるように。
(ネギ‥)

あと3秒。
(頑張りなさいよ)
そして

あと1秒。

「3-A、最高ーー



「‥たった今、30人全員の死亡が確認されました‥」
「‥そうか。死体処理班に連絡しておけ」
「‥‥‥‥‥我々は‥いったい何をやっているのでしょうか‥」
「‥‥‥さあな‥」


この年以降、プログラムは二度と施行されなくなった。
31通りの光を持つ星になった少女達が、その事実を知ることはない。
〜Fin.〜
駄文失礼しました
 

    [管理人の短編一言感想集] その98
    誰一人バトロワに乗らなかった結末。
    短編として綺麗にまとまっている作品
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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