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短編No60-A 魔法先生ロワイヤル(前編)

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2007/03/24(土) 20:53:36
ネギま! バトルロワイヤル


「ネギ君……起きたまえ。ネギ君!」
「ん……あれ?タカミチここは……?職員会議じゃ……?」
「わからない。僕も気付いたらここにいたんだ」
辺りを見渡すと他の魔法先生たちもいた。皆状況が飲み込めてない様子である。

職員会議、といってもそれは仮の名前で魔法先生による本国のことや魔法界の会議にいつものように集まった。
いつもなら五分前にはいるはずの学園長がなかなか現れずみんなで待っていた。そこからの記憶がない。

「タカミチ、その首輪は何?」
「わからない。どうやら全員に付いてるようだ。無論ネギ君にもね……」
言われて見れば首に違和感がある。恐る恐る触れてみると次自分にも同じ物が付いていた。
無理矢理外そうとしてると突然扉が開いた。出てきたのは学園長の近衛近右衛門だった。

「さてさて、みんな起きたかのぉ?」
普段通り長い髭を弄りながら全員の顔を見据える。
「学園長!これは一体何の真似ですか!?」
明らかな異常事態に普通の態度を取る学園長に激しく攻め立てるガンドルフィーニ。
「まあまあ、落ち着きなさい。これからちゃんと説明するでの」
学園長の説得でガンドルフィーニも渋々と引き下がる。
「さて、諸君!今日こんな所に集まってもらったのは他でもない。諸君には“あること”をしてもらいたい!」

そこで一旦区切りみんなの視線が集まるのを見計らい大きな声で続けた。

「諸君にはこれから殺し合いをしてもらう」

全員に衝撃が走った。

【残り10人】


「めんどくせー事になったな……」
神多羅木は一人ぼやきながら畦道を歩いていた。のどかな田園風景だが今はそれを楽しむ余裕はない。
あの部屋でこのゲームのルールの説明を聞き荷物を渡された。そして気が付いたら自分は田んぼにいた。

「転移魔法か……どうみても麻帆良じゃねーな。あれだけの人数を同時に遠くまで……やっぱり近衛のじーちゃんはすげぇーな」

神多羅木は歩きながら考えをまとめる。あの部屋での説明についてだ。

1.魔法、気は通常通り使える
これはありがたいのやら厄介なのやら……。何も制限しないと言うことは逆に言えばそれでも脱出は不可能といってるようなもんだ。
それともしも自分より上の使い手がゲームに乗ったとしたら非常に危険だ。

2.首輪について
どうやら爆発するらしい。無理に外す、ショックを与える、禁止エリアに入るなどで発動するらしい。
これも魔法や気で強化しても無駄なんだろう。じゃなきゃ付ける意味がない。

3.ゲームの主旨
これがまったく解らん。質問もすべて却下。ただ最後の生き残った一人は元の世界に帰れるらしい。
期限は2日。決まらなければ首輪爆破。ふざけたゲームだ。

4.支給品
バッグの中には2リットルの水、2日分の食料、地図とコンパス、紙とペン、それとランダムの武器。
各自の持ち物は特に没収はされてなかった。俺のタバコもちゃんと胸ポケットに入ってる。臭いでバレる可能性があるから吸わないがな。
ちなみに俺の武器は練習用の杖。懐かしいもの入れてくれるじゃねえか。これでよく練習してたぜ。



「さて、どうするか…優勝を狙うか、脱出か……。どっちも生き残る確立は絶望的だが……」
その時近くで気配を感じた。それは一瞬だが神多羅木にはそれで十分だった。

「隠れてないで出てきてくれないか?そこにいるのはわかってるんだ」

神多羅木はトラクターのほうを睨み付ける。すると突然銃弾が飛んできた。弾は障壁を突き破り頬を掠めた。

(障壁突破の弾丸か…!不味いな……)

神多羅木は近くの物置に隠れて様子を見る。その時トラクターから人が出てきた。

(あれは……教授!?)

「わ、わ私には娘がいるんだ。つ、妻のいない私が死んだら娘は、裕奈は生きていけない!だだ、だから……」
教授は銃を乱射しながら走ってきた。
「私は死ねないんだああああああああ!!」
「ちっ!」
神多羅木も負けじとフィンガースナップを乱射する。指先から無数の風の刃が放たれる。
神多羅木の放った風は教授の弾の弾道を変えながら進んで行く。そしてその刃は物を、空気を、そして教授を切り裂いた。

「うぐっ!?うわああああああ!!」
達磨状態の教授を見下ろしながら神多羅木は言い捨てる。
「悪いがあんただけじゃないんだよ、死ねないのは。みんな生き残りたいんだ」
「ぐっ……!」
「いい人だと思ったんだがな、見損なったよ。じゃあな」
「ゆ、裕……」

――パチン

明石教授死亡 【残り 9名】

「ここは……?麻帆良じゃない。どこかの……島?」
ネギが転移された場所は山上の展望台だった。見渡しがよくこの島を一望できる。
「本当に……殺し合いなんかが……?ま、まさかそんなハズは……」
無い、と否定しようとした時遠くの海岸で轟音が鳴り響いた。

「今の音、それにあの煙……!」

ネギは見覚えがあった。武道会での戦いであれと同じような物を。
「まさかタカミチ……!?あそこで一体何が……」
何が何だかわからない。しかし少なくともあの場所に高畑がいるのは確かだ。
ネギは高畑のもとへ向かおうと杖に跨った。その時だった。

「待ちたまえネギ先生!」

声のする方を見ると木の陰に褐色肌の男、ガンドルフィーニが銃を構えて立っていた。
「ガ、ガンドルフィーニ先生!?」
「その杖から降りなさい」
「でも向こうでタカミチが……!」
「いいから!!」
ガンドルの迫力に押され渋々と降りるネギ。それを確認するとガンドルも構えを解いた。
「危なかった……もし私が止めていなかったら君は死んでいたかも知れない」
「ど、どういう事ですか?」

「禁止エリアは聞いただろう?どうやら上空も制限されてるらしい」
ガンドルも位置の確認をしようと空を飛んだ。しかしある程度の高度に来ると首輪から警告音が鳴り始めたのだ。
「そ、そうだったんですか。ありがとうございました。それで……こ、殺し合いというのは本当なんでしょうか?」
そのネギ質問にガンドルは一瞬表情を曇らせたがすぐに険しい表情になるとネギに告げた。


589 :ホントにこんなの続けていいのか?:2007/03/26(月) 23:38:28 ID:???
「明石教授が死んでいた。体の至る所を切断されていたよ……」
「そ、そんな……それじゃ……裕奈さんは………………」
信じられないと言った表情のネギの頭にガンドルはそっと手を乗せた。
「受け入れたくないかもしれないがこれが現実だ。これからもっと辛いことが起きるかもしれない。それを覚悟してほしい」
そう言ってガンドルは先ほど高畑が居ると思われる海岸に目を向ける。

「さて、高畑先生があそこにいるかもしれない。急ごう。………どうしたんだネギ先生?」
「先生は……このゲームをどうするんですか?」
ネギの質問にガンドルは少し考えると笑顔で答えた。
「勿論脱出に決まってる。人を殺してまで生き残っても娘が悲しむだけですからね。さあ急ごう!」
「はい!」
二人は急いで海岸へと向かった。

(教授を殺した犯人は一体?切断されたのを見ると刀子先生か、神多羅木先生か?だが支給品次第で誰でも可能……)
走りながらガンドルは思考を巡らせるが結局答えは見つからない。

(結局はみんな怪しいというわけか……はたして高畑先生も敵か味方か……)

(タカミチ……きっと大丈夫だよね?生きて帰れるよね?)

ガンドルの不安は果たして的中するのか、杞憂に終わるのか?
ネギの願いは果たして叶うのか、裏切られるのか?

この先起こることはまだ誰にもわからない……

【残り 9人】

2発、3発と地面に巨大なクレーターを残しながら轟音が島中に響き渡る。
轟音の正体は高畑の必殺技・豪殺居合拳である。高畑は舞い上がる砂煙を見つめた。
「攻撃を止めないのなら次からは本気で当てにいくよ」
そう告げると砂煙の中から一人の青年が現れた。
「流石高畑先生。アレを喰らった一溜まりもありませんね」
中から出てきたのは瀬流彦だった。彼は杖を構えたまま高畑に歩み寄っていく。
「瀬流彦君。何故君はこのゲームに乗ってしまったんだい?」

数分前、高畑はこの海岸で瀬流彦と出合った。一緒に脱出をしようと話そうとした時いきなり魔法攻撃をされた。
明らかな殺意の篭った魔法の射手を見て高畑も反撃に出たのだ。

「生き残りたいからに決まってるじゃないですか。こんな所で死ねないですよ」
「残念だよ……君は優しくて誠実で…将来は立派な魔法使いになれると思っていたんだが……」
「だからこそですよ。未熟のまま死ぬわけにはいかない。生き延びて立派な魔法使いになるんですよ」
「どうやら話しても無駄なようだね。悪いけどみんなを危険に晒すわけにはいかないんだ。ここで君を倒させてもらうよ」
「“倒す”じゃなくて“殺す”じゃないと僕は止められませんよ?」
二人は同時に動いた。再び辺りに轟音が響く。高畑の居合拳を瀬流彦は全てをギリギリで回避している。

高畑は気付いていない。自分の甘さに、知らず知らずのうちに手加減をしていることを。
「どうしたんですか高畑先生?さっきから全然当たらないじゃないですか?」
高畑は心のどこかでまだ諦め切れていなかった。もしかしたら更生してくれるかもしれない。
そんな考えが隙になる。
「強い者が必ず勝つとは限らないものですよ」
「なに?」
突然海から魔法の射手が飛んできた。
「なっ!?遅延呪文か……!だが……」
予想外の攻撃にも焦る事なく避けようとした時、何者かに足を捕まれた。
魔法の射手は目の前。回避は不可能。そして……



「まさか君がそんな所に隠れていたとは……」
高畑の足下から瀬流彦が出てきた。高畑は動かない。否、動けなかった。
「戦いを制するには確かに力も必要です。だが一番重要なのは力の有効利用」

瀬流彦の作戦はこうだ。
あらかじめ支給品の式紙を出しておき自分は土中に隠れる。
そしてタイミングよく魔法を発動させあたかも式紙が魔法を放ったように見せる。
居合拳の砂煙で視界が悪くなった時を見計らい海に魔法の射手をセットして置く。
そして上手く高畑を誘い出し発射。土中からの捕縛魔法。更に魔法の射手の捕縛で高畑は完全動けなくなった。

「もう僕をひよっ子だと思わないほうがいいですよ。まあもう終わりですけどね」
瀬流彦が詠唱を始めると大量の光の矢が現れた。

(ネギ君……どうやらここまでのようだ。3−Aを……明日菜君を頼んだよ)

光の矢が一斉に高畑の急所を貫いた。そのまま天を仰ぐように倒れるとピクリとも動かなくなった。

「くっ…!」
瀬流彦もその場に膝を付いた。
(魔法の使いすぎか……だが…!)
もう高畑はいない。恐らく参加者の中で一番の強敵。それを序盤で倒せた。何より自分の手で倒した事により自信がついた。
「とりあえず他の先生が来る前にここを離れないと。どこか隠れられる場所で回復を……」
気だるい体を無理矢理立たせ歩き始める。あの高畑と戦ったのだ。魔力だけでなく精神もかなり消耗している。

(絶対生き残るんだ。生き残ってみんなに認めさせる。僕の本当の実力を!)

彼は歪んだ思いを胸に海岸沿いにある森の中へ消えて行った。


高畑・T・タカミチ 死亡

【残り 8人】
 

    [管理人の短編一言感想集] その60−A
    お気に入り短編の一つ。魔法先生ロワイヤル。
    3−A生徒が主体ではなく先生が主体のストーリーが良いと思いました。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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