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短編No11 「ありがとう」

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2005/12/20(火) 01:07:46
ネギま! バトルロワイヤル


やっぱり私弱いのかな
クラス委員長だからとか、殺し合いなんていけないとか考えたけど
自分が殺されるのが怖いから
正義感や、プライド、自分でもあるほうだと思ってた
でもそんなの考えてられないくらい怖くて
辛くて
苦しくて

だからかな
頭と体が離れたみたいに言う事聞かなくて
クラスメイトに向けたまま引き金を引き続けてるのは
狂っちゃったのかな……

また一人倒れちゃった、死んじゃったんだよね
ちゃんと見えてるのに誰なのかもわかんない
その子を思い出そうとしてるのに
私の目はまた別の子を映して
手の先を向けて
殺してる

殺すことが嫌なのか、それとも望んでるのか
ぐちゃぐちゃで
でも涙が流れてるって事は
多分やりたくないんだよね、こんなこと
でも、もう戻れないよ

あの子、銃持ってる
殺すのかな
でも怖いって思わないのは、矛盾してるよね
殺されたくないから殺してるのに
多分私は、もう、終わりにして欲しいんだ
死ぬことを願ってる
早く逃げたい
この悲しみから

でも、あの子も泣いてる
震えながら何か叫んでる
ごめんね、聞こえないよ
私を撃つのを躊躇してるのかな
だめだよ
早くしないと、私、あなたを……

胸のあたりを何かで押された感じがする
よろめいたけど、後ろの壁が支えになって
ずるずるとお尻が床に乗った
いつのまにかマシンガンは握ってない
痛くはないけど、動けない
お尻の下に、おもらしみたいに血が広がる

体に僅かな振動が響く
私を撃った子が走ってきてるのかな
肩をつかまれて寄せられると頭があがって
その子の顔が映るけど、やっぱり誰だかわからない
何か言ってるけど聞こえない

強く、抱かれる
痛いくらいに抱きしめてきた腕は
凍える私の体にしみて暖かい
耳もとに何か当たる
その硬い何かは
私に最後の音を聞かせてくれた

チリン

目が覚めたように感覚が戻る
だけど体は動かないまま
それでも私はクラス委員長として
一人の人間として
最後の使命を果たすために
今までの想いを込めて
大事な親友に、雪広あやかの全身全霊を懸けて

「ありがとう」
  
 

    最終更新日:2008年2月3日
    [管理人の短編一言感想集] その11
    管理人のお気に入り短編。当時の住人の反応も良好でした。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
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