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こちら麻帆良学園麻帆良図書館深層部

短編No117 鳴たき風かの明日なであそぼう☆

作者:マロン名無しさん
掲載日時:2008/05/03(土) 20:36:45


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主催者たちを倒すという大仕事を終えたネギ・スプリングフィールドは森の中を彷徨っていた。
足元に転がる生徒たちの亡骸を見ないように、ひたすら前へと進んだ。
永遠に続く迷路の出口を、闇に差す光を、命の灯火を持った愛する生徒を探して。

「僕のせいで……」

「僕に強さが足りなかったから……」

「だから……だから皆が………!」

行く手を阻む雑木たちを掻き分けずに、必死に道でない道を突き進み――――。

やがて見つけたのは―――――。


◇  ◇  ◇

神楽坂明日菜(8番)は両腕を手錠で束縛され、身動きのとれない状態にされていた。
妹を明日菜に殺害された、鳴滝風香(22番)によって。
風香は彼女とは思えないほどの形相で明日菜を見下ろす。
気の強い明日菜をここまで大人しくさせるほどに、この場の空気全て支配してしまうほどに。

「……どうしてこんなことするの」
「お前が史伽を殺したからだよ」
「あれはふみちゃんが…」
「お前が史伽を殺したからだよ」

会話が成り立たない。これは今に始まったことではない。
風香が壊れた人形のようになってしまったのは、明日菜が史伽を殺す場面を目撃したためである。
無論、明日菜に悪意は無かった。寧ろ悪意があったのは史伽の方。
詳しく言えば、ゲームが開始して以来明日菜と史伽と風香はずっと共に行動していて、
先程の定時放送で残った者が自分たち三名だと知った瞬間、史伽が支給されたナイフで明日菜を襲った。
風香は状況を飲み込めずただ佇んでいて、最終的に史伽が返り討ちにされた時に我に返ったのだ。
それから風香が狂い、史伽の生命を奪ったことに衝撃を受ける明日菜の背後から自身の持っていた金槌で彼女の頭部を強打し…。


今に至る。


「お腹刺されて痛かったよね史伽。悔しいよね」

語りかける。
亡き者に。
しかし彼女にとってはそこに存在する者。
だって目が合っている。
自分と向き合っている。
頭がある。

「ボクも悔しいんだよ、妹を殺されるだなんてさ。史伽がボクの立場だったら、そうだろ?」
「うんうん、やっぱりボクたちは双子だね。同じ考えをもってる」
「じゃんけんのときだってそうだったよね、必ず最初はあいこになるんだ」
「あははは、そう。最後にはボクが後だしして史伽が負けるんだよね」

狂った末に`もぎ取った史伽の頭`を胸に抱き、赤子をあやすような口調で語りかける。
ゾッとした。
風香が`史伽`と会話すると、いつも明日菜の心臓は破裂しそうなくらいにはねる。

「……もうそうやって遊べないんだよね、ボクたち」
「退屈だよ、そんなの」
「でも、大丈夫。ちょっとの間だけど、アスナが遊んでくれるっていうからさぁ」

揺らめくオッドアイの中に映るは、正面に据えた狂笑。


◇  ◇  ◇


「あ゛……え…?」

舌を引きずり出され、膜を剥がされている中途半端にくりぬかれた目玉、裂かれた口端、リンゴのように皮が剥かれた両足、一本一本妙な方向に曲げられた両手の指、妙に凹凸のある両腕。
原型の片鱗も残さない、`誰か`の死体。――――と、その隣に並んだ鳴滝姉妹の首。

「あ、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


島に響くは最後の悲鳴。

悲劇にはまだ、終止符はつかない。

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