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短編No110 ラカンのバトルロワイアル

 
作者:葱坊主 ◆tHHIOImW4w
掲載日時:2008/03/29(土) 20:43:52
ネギま! バトルロワイヤル


喉の渇きで彼は目覚めた。
彼の名はジャック・ラカン。昨夜はしこたま酒を飲んだ影響で何をやったのか覚えてはいない。
ようやく意識がはっきりしたラカンは周囲を見回した。少しだけ違和感を感じる。
普段の飲み歩きの経験で言えば、泥酔したときは半壊した酒場か、死屍累々としたゴロツキ供の中で目覚めるのがいつものことであった。
しかし、今日はいつもと様子が異なり、森の中でたった一人で寝ていたらしい。
辺りを見回すが、誰もそこにはいなかった。
「ここは……どこだ?」
そこはラカンの知らない場所であった。
注意深く辺りを見回すと、デイパックとともに一枚の紙が置かれてあった。
その紙にはこう書かれてあった。

『今から殺し合いのゲームを始める。生き残った一人が生きて帰ることが出来る』と。

その紙にはこうも書かれていた。

『ゲームに反する行動を取った者は首輪を爆破する』と。

ラカンは自分の首元を手さぐりで確認した。ラカンの首元には奴隷契約で使われる首輪が嵌められていた。
この首輪を付けられたものは、強制的に拘束することも出来るし、無理に外そうとしたら爆発する代物だ。
別に外そうとしなくても、やろうと思えば爆発させることが出来る。
首輪が爆発すれば生きてはいない。……普通はそうである。


状況を確認したラカンの口元に笑みが浮かんだ。
「このラカン様も舐められたものだな。この程度の首輪で俺様を支配したつもりか?」
ラカンは首輪に指をかけると体中の力をみなぎらせた。ラカンの体中の筋肉が膨らむ。
「うおおおおおおおおおぉぉっ!」
雄たけびを上げたラカンは全身に気合を入れた。
「ふんぬっ!」
掛け声と同時に首輪を引きちぎる。
ブチッという首輪が千切れた音。
――閃光、そして爆発音。

爆発はラカンにダメージを与えた。しかし、彼の命を奪うことは出来なかった。
「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!危うく死ぬところだったぜ!」
爆発の煙にむせながら、ラカンは爆発に対する短い感想を述べた。
いや、普通の人間は死ぬっつーの!などと千雨が側にいたらツッコミが入ったことだろう。

晴れて自由の身になったラカンは、さっさと帰ろうと思っていた。
このときになって喉が渇いていたことを思い出し、デイパックの中を探って水の入ったビンを取り出すと、中身を一気に飲み干した。
「ふーっ、生き返る」
空になったビンを放り投げてさあ帰ろうと思ったその時、デイパックの中に名簿があるのに気付く。
「なんだ、ゲームの参加者の名簿か?」
どんな奴らが参加しているのか興味を覚えたラカンは、名簿を開いた。


名簿は30人の参加者の顔写真と名前が乗っている。いつの間に撮ったのかラカンの顔写真もある。
拳闘士やちょっとは名の知れた奴らの名前があった。バルガスやカゲタロウの名もあった。
「どんな奴らかと思ったら、大したことねー奴ばっかりだな……」
そう言ったラカンの視線がある男の写真でピタリと止まる。
「こ……こいつは……」
意外な男の顔があった。そいつとは戦ってみたい、いや、ぶちのめしてやりたいと思っていた奴である。
次第にゲームに対する興味が沸いてきた。
「こいつと殺り合えるのなら、ちょっとはやってもいいかな?」
ラカンは方針を変えた。
「それに、よく考えたら俺様をこんなゲームに無理やり参加させた奴等に挨拶しとかないとな。
まあ、慰謝料として100万ドラクマで勘弁してやるか」

そう言って地面に置いてあったデイパックを持ち上げると肩に担ぐ。
「まあ、夕方までにケリをつけないとな」
ゲームに乗るべく、他の参加者と出会うためにラカンは歩き始めた。

【残り30人】
 

    [管理人の短編一言感想集] その110
    ラカン、バトルロワイアルに参戦!
    いや、ラカンが参戦したら誰も敵わないし・・・。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
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