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短編No93 美空の道

 
作者:真・作者18 ◆iENNpAl3Xs
掲載日時:2008/01/24(木) 20:43:35
ネギま! バトルロワイヤル


いきなり、バトルロワイアルの戦いに巻き込まれたのは何の変哲もないごく普通の日だった。
一箇所の教室に集められ殺しあうように命じられた。
春日美空は何がどうなっているのか頭の中の整理すらままならず、スタートしていきなり全力疾走した。
スタートして5分後には次の人間がスタートする。それまでに十分な距離を保っておきたかった。
気がつけば森のど真ん中で立ち尽くしていた。

「はぁ……。どうしたものかなぁ」
春日美空は軽くため息をついて適当な場所に腰を下ろす。
武器はグロック18。弾丸を確認するがどう見ても本物だ。
自分みたいな当て馬同然の人間がこんな戦いに出ても確実に殺されてしまう。
中途半端な正義感で立ち向かっても、ただのかませ犬で死んでしまうことは確実。
ならば選択肢は2つ。戦って生き残るか、逃げ回って運良く生き残るか。
しばらくすると鈍い音が響いて何事かと物陰から覗く。
すると自分よりも先にスタートした明日菜が鉈で頭をかち割られて殺されている所を目撃。
あれだけ大勢で殺しあうことを反対していた明日菜が、スタートして30分ももたずに殺されてしまったという皮肉。
明日菜を殺した相手はまだこちらに気づいていない。
そう察するや一目散に逃げ出した。まともにやりあって勝てる相手ではない。
自分に殺しをやって生き残るほどの勇気などない。
美空は迷うことなく荷物を片付けて逃げる道を選択した。

1日目
適当な小屋に身を隠して時間が過ぎるのをひたすら待った。
銃の安全装置を外しておく。いつでも殺しにきた相手に立ち向かうくらいの勇気だけを胸に秘めて……。
しばらくして放送が流れる……明日菜死亡の報告が流れた。当然だ、あれで生きているならゾンビだ。


どうやら明日菜を殺した相手も死んだようだ。ほんの少しだけほっとする。
クラスメイトが死んだのにほっとするのは不謹慎かもしれないが、あの目は完全に狂っていた。
どうしていいか分からずその日はずっとその場に隠れていた。
怖くて、殺されるかもしれないという恐怖に怯え、小さな音にも極端に敏感になった。
こうしている間にも戦っている人はいる。だが自分は戦う気になれない。
自分はヒーローになんか向かないし、それで犬死するなんて御免だった。

2日目
放送で昨日の内にクラスの人数が18人に減っていた。俯き加減でリストを見ておく。
どうしてこんな風になってしまったんだろうと途方にくれる。
自分には何も出来ない。無力で何の役にも立てない卑怯者だ。
ずっとここに隠れて禁止エリアのみ動く。姑息かもしれないが生き残るためには仕方なかった。
生き残りたいがための一つの手段でしかない。
美空は後ろ指を指されること覚悟でその選択をした。変えるつもりはない。
そうしている間にも徐々に減っていく生徒たち。
「……みんな、ごめん」

3日目
運がいいのか今居る場所が禁止エリアになることは今までなかった。
ついさっき次の禁止エリアがここになったため荷物をまとめて出て行こうとしていたところだからだ。
生徒の数は自分を含めて11人。何をすればいいのか未だに答えを見つけられず……。
木乃香が死んでいる、刹那も死んでいる、ネギの主力と呼ばれている人間の大半は死んでしまった。
せいぜいのどかが生きているくらいだ。
皆正義感が強い者たちだから、きっと呼びかけている中で死んだのだろう……。
やるせない想いを秘めて美空はゆっくりと外へ出た。



「ん?」
「うわぁぁ!」
驚きのあまり声を上げて尻餅をついてしまった。
声の主は雪広あやか。正直言って3日目までよく生き残れたと感心する。
全身泥と傷だらけでどんな目にあってきたのかが容易に想像つく。
暗い表情のあやかは意気消沈しているのか美空と目を合わせようとしない。いつもの覇気が全くなかった。
なのに銃を片手に持っている以外は全くの無防備。よく見ればお供を連れている。
相手はのどかだった。2人とは関係ない場所をブラブラと歩きながら見ている。
その手にはショットガン。撃つ気配がないというより振り回して遊んでいる。
薄笑いを浮かべるのどかの表情を見てまともではないと悟った。するとそんなのどかをつれているあやかは……。
そう考えてあやかに視線を送るや、あやかの目つきが鋭くなる。
咄嗟に逃げようとするが、あやかは44マグナムを美空に向けて容赦なく放った。

「が……」
わき腹に弾丸を食らって美空はその場に倒れこむ。
「あはははは、やりましたねいいんちょさん。早くとどめを刺しましょう」
「……そうですわね」
狂った笑顔を浮かべるのどかとは対照的に、あやかは情緒不安定な目つきで美空を見下ろす。
最悪だった。出るタイミングを間違えてしまった。
もう少し慎重になって周りを見ていれば、狂った二人に出くわすこともなかった……。
「死になさい、どうせこんな狂った人たちなんてみんな死ぬのですから」
いいんちょに何があったか知らないが、彼女もまた完全に狂っている。
周りに絶望して卑屈に歪んだその表情は、委員長としての面影を完全に捨て去っていた。



「ち、違う……私は狂ってなんか――」
至近距離で放たれた44マグナムの弾丸は、一瞬のうちに美空の胸に大きな穴を開けた。

結局みんなが狂う運命になっているのだ。
どうしていいか分からない。答えなんてない、逃げ回っていても殺されるなら……どうすればいい。
もしかしたら、初めから正しい答えなんてないのかもしれない。
答える道を見つけられないまま、美空は床に沈んだ。



いきなり、バトルロワイアルの戦いに巻き込まれたのは何の変哲もないごく普通の日だった。
一箇所の教室に集められ殺しあうように命じられた。
春日美空は何がどうなっているのか頭の中の整理すらままならず、スタートしていきなり全力疾走した。
スタートして5分後には次の人間がスタートする。それまでに十分な距離を保っておきたかった。
気がつけば森のど真ん中で立ち尽くしていた。

「はぁ……。どうしたものかなぁ」
春日美空は軽くため息をついて適当な場所に腰を下ろす。
武器はグロック18。弾丸を確認するがどう見ても本物だ。
自分みたいな当て馬同然の人間がこんな戦いに出ても確実に殺されてしまう。
中途半端な正義感で立ち向かっても、ただのかませ犬で死んでしまうことは確実。
ならば選択肢は2つ。戦って生き残るか、逃げ回って運良く生き残るか。
しばらくすると鈍い音が響いて何事かと物陰から覗く。
すると自分よりも先にスタートした明日菜が鉈で頭をかち割られて殺されている所を目撃。
あれだけ大勢で殺しあうことを反対していた明日菜が、スタートして30分ももたずに殺されてしまったという皮肉。
明日菜を殺した相手はまだこちらに気づいていない。
そう察するや一目散に逃げ出した。まともにやりあって勝てる相手ではない。
自分に殺しをやって生き残るほどの勇気などない。
美空は迷うことなく荷物を片付けて逃げる道を選択した。

1日目
適当な小屋に身を隠して時間が過ぎるのをひたすら待った。
銃の安全装置を外しておく。いつでも殺しにきた相手に立ち向かうくらいの勇気だけを胸に秘めて……。
しばらくして放送が流れる……明日菜死亡の報告が流れた。当然だ、あれで生きているならゾンビだ。


どうやら明日菜を殺した相手も死んだようだ。ほんの少しだけほっとする。
クラスメイトが死んだのにほっとするのは不謹慎かもしれないが、あの目は完全に狂っていた。
どうしていいか分からずその日はずっとその場に隠れていた。
怖くて、殺されるかもしれないという恐怖に怯え、小さな音にも極端に敏感になった。
こうしている間にも戦っている人はいる。だが自分は戦う気になれない。
自分はヒーローになんか向かないし、それで犬死するなんて御免だった。

2日目
放送で昨日の内にクラスの人数が18人に減っていた。俯き加減でリストを見ておく。
どうしてこんな風になってしまったんだろうと途方にくれる。
自分には何も出来ない。無力で何の役にも立てない卑怯者だ。
ずっとここに隠れて禁止エリアのみ動く。姑息かもしれないが生き残るためには仕方なかった。
生き残りたいがための一つの手段でしかない。
美空は後ろ指を指されること覚悟でその選択をした。変えるつもりはない。
そうしている間にも徐々に減っていく生徒たち。
「……みんな、ごめん」

3日目
運がいいのか今居る場所が禁止エリアになることは今までなかった。
ついさっき次の禁止エリアがここになったため荷物をまとめて出て行こうとしていたところだからだ。
生徒の数は自分を含めて11人。何をすればいいのか未だに答えを見つけられず……。
木乃香が死んでいる、刹那も死んでいる、ネギの主力と呼ばれている人間の大半は死んでしまった。
せいぜいのどかが生きているくらいだ。
皆正義感が強い者たちだから、きっと呼びかけている中で死んだのだろう……。
やるせない想いを秘めて美空はゆっくりと外へ出た。



「ん?」
「うわぁぁ!」
驚きのあまり声を上げて尻餅をついてしまった。
声の主は雪広あやか。正直言って3日目までよく生き残れたと感心する。
全身泥と傷だらけでどんな目にあってきたのかが容易に想像つく。
暗い表情のあやかは意気消沈しているのか美空と目を合わせようとしない。いつもの覇気が全くなかった。
なのに銃を片手に持っている以外は全くの無防備。よく見ればお供を連れている。
相手はのどかだった。2人とは関係ない場所をブラブラと歩きながら見ている。
その手にはショットガン。撃つ気配がないというより振り回して遊んでいる。
薄笑いを浮かべるのどかの表情を見てまともではないと悟った。するとそんなのどかをつれているあやかは……。
そう考えてあやかに視線を送るや、あやかの目つきが鋭くなる。
咄嗟に逃げようとするが、あやかは44マグナムを美空に向けて容赦なく放った。

「が……」
わき腹に弾丸を食らって美空はその場に倒れこむ。
「あはははは、やりましたねいいんちょさん。早くとどめを刺しましょう」
「……そうですわね」
狂った笑顔を浮かべるのどかとは対照的に、あやかは情緒不安定な目つきで美空を見下ろす。
最悪だった。出るタイミングを間違えてしまった。
もう少し慎重になって周りを見ていれば、狂った二人に出くわすこともなかった……。
「死になさい、どうせこんな狂った人たちなんてみんな死ぬのですから」
いいんちょに何があったか知らないが、彼女もまた完全に狂っている。
周りに絶望して卑屈に歪んだその表情は、委員長としての面影を完全に捨て去っていた。



「ち、違う……私は狂ってなんか――」
至近距離で放たれた44マグナムの弾丸は、一瞬のうちに美空の胸に大きな穴を開けた。

結局みんなが狂う運命になっているのだ。
どうしていいか分からない。答えなんてない、逃げ回っていても殺されるなら……どうすればいい。
もしかしたら、初めから正しい答えなんてないのかもしれない。
答える道を見つけられないまま、美空は床に沈んだ。



 

    [管理人の短編一言感想集] その93
    美空の道のオチは、悲しい結末でした。
    アーメン・・・・・・
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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