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短編No78 ス○ブラではないロワイヤル

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2007/10/27(土) 18:27:04
ネギま! バトルロワイヤル


「はぁ・・・はぁっ・・・」
「・・・逃がさないよー♪ゆ〜な〜♪殺してあげるよっ♪♪」

息を切らしながら裕奈は駆けて行く。
背後には笑顔のまま、まき絵が裕奈の後を追っていた。

「くぅっ・・・!!」
「よっと、そんなの当たらないってば〜♪」
逃げている間に裕奈は少し立ち止まり、苦し紛れにブーメランを投げるものの、運動神経の高いまき絵は首を横に反らし軽々とそれを避けてしまった。裕奈は軽く溜息をつく。
裕奈のダメージは非常に大きかった。おそらく後一撃でもやられたらあっけなく死んでしまうだろう。
肉弾戦で立ち向かうにもまき絵は少し負傷をしている程度。勝つ見込みはなかった。
そして逃走劇の果て、ついに裕奈は崖際まで追い込まれてしまった。

「・・・くっ・・・私は見たのよ・・・アキラを崖に落としたのは・・・まき絵、あんただって・・・!!」

裕奈は見てしまっていた。まき絵が容赦なくアキラの体を落としていく様を。抵抗する暇もなくアキラは崖から落とされてしまっていた。
自分ではアキラを助けることが出来なかった。後悔の念が募る。
しかしいくら後悔したところでもう―――アキラは戻ってくることはない。

抵抗の念を込め、誰のものかはわからなかったが、目の前にはバットが置いてあったので投げつける。

「うっ!?・・・ぐっ・・・中々やるね〜・・・ゆーな・・・」

弧を描くバットはまき絵の体に当たった。
しかし少し後ろに飛んだもののすぐに立ち上がり、裕奈に詰め寄っていく。
最後の抵抗と考えていた裕奈にもう策はなかった。さらにまき絵の手の中にある『とあるもの』を見て、抵抗する気が失せてしまった。
裕奈は立ち止まり、絶望した表情でまき絵のほうを見る。



「・・・それ、はっ・・・!!」
「・・・ふふっ、観念したみたいだね、ゆーな♪」

まき絵は器用に鈍い光沢を持つ『とあるもの』を見せびらかすように回転させている。
裕奈は絶望した表情をまき絵に向けたままだ。

「えへへ〜・・・これわかるんだ?これアキラが持ってたんだよ〜♪・・・盗っちゃったけどね♪これすっごく強いんだよ〜♪」
まき絵は手に持っている『とあるもの』、銃を裕奈に向ける。
銃口からは徐々に光が漏れ始めていた。裕奈の顔から冷や汗が出る。

「バイバイ、ゆーな♪このゲームに勝つのは・・・私なんだっ♪そのために・・・死んでっ♪」
「・・・く・・・そっ・・・」

裕奈の抵抗はむなしく、無情にもまき絵の銃からは強大な光が放たれた。
巨大な光弾は裕奈の体に向かっていく。覚悟した裕奈はその場に立ち止まったままだ。

そして―――――





ブツン。



「「あ〜っ、ちょっとー!!?」」

電源の切れたテレビの前で裕奈とまき絵は吼える。
前には寝巻きの亜子が目を擦りながらむっとした顔で立っていた。

「亜子のバカ〜!!いいとこで止めないでよ〜!!?」
「・・・ダメや、二人とも・・・夜中にゲームやんのは勘弁し〜や。うるさくてたまらんわ。目も悪くなるしな・・・いい加減にせ〜よ?」
「う〜・・・怒んないでよ〜・・・ごめんごめん♪」
亜子は頬を膨らませながら怒ってる様子を見て申し訳なさそうに頭を掻く裕奈。
そっとなだめるように亜子の頭をなで謝る。
「ま、まぁええわ・・・そこまでいうんなら・・・///」
「だけどさぁ〜!!電源を無理やり切るのは勘弁してよ〜!!ゆーなに止めさすとこだったのに〜!!」
「だって死んだやら殺すやら物騒な事ゆーてたってか叫んどったやん・・・冗談でも勘弁しぃ。」
まき絵の発言に対し、赤い顔で俯いた亜子が顔をあげツッコミを入れる。
裕奈とまき絵がまさに同じタイミングに「ごめんね〜」と言う様子を見てアキラはクスリと笑顔を零す。

「さぁ、亜子も入ってっ!四人対戦の方が燃えるにゃ〜♪」
「・・・じゃあ今度も私はサムス〜♪」
「ま、またぁ〜!?じゃあ今度はリンクじゃなくて私はヨッシーでいくにゃ〜!!」
「(・・・でっていうか・・・。私はメテオで何も出来なかったし・・・もう一度マリオにしよ・・・)」
「・・・はは、まあほどほどにしときーや・・・。まぁ、私もやるけどな♪」

亜子も笑顔を零し、コントローラーを握った。

この三人といるのはとても心地よい。日常が毎日楽しい。亜子以外の三人もそう思っているだろう。
そしてそれぞれが四人の仲がこのまま崩れないものだと信じている。
幸せな日常が当たり前で、みんな仲良し。そう信じていた。


しかし―――



「まき絵・・・どう・・・してっ・・・!!!」
汗ばむ拳を握りながら裕奈は叫んでいた。悪い夢であってほしかった。
その隣で震えている亜子の顔は涙でクシャクシャになっている。

「(何でこんなことに・・・!!!!?)」
どうして、まき絵は、こうも歪んでしまったのか裕奈にはわからなかった。
「・・・私は・・・ゲームに勝たなくちゃいけない、いけないんだよ・・・死にたくないのっ!!」

「何で・・・何でなのよ・・・!!?・・・なっ!?」
「わっ、ゆ、ゆーなっ!?」

―――まき絵の銃から硝煙が吹いた。

銃を構えた事に瞬時に反応できた裕奈はとっさに亜子の体を自分の体の影に隠す。
それと同時に裕奈の体が跳ねた。
少し間が空いた後亜子はようやく状況を理解した。
「・・・ゆーなっ!!?ゆーなぁ!!!!?しっかりしてよ!?・・・ねぇ・・・!!?」
亜子はぐったりとした様子の顔の裕奈を抱え、耳元で叫ぶ。
必死の力で体を揺するが裕奈は口を開くほどの体力もなかった。

「・・・生き・・・て・・・」
最後の力を振り絞り裕奈は、耳元でポツリと呟き、亜子の体をそっと抱き締めた。
しかしそれが最後。抱き締めていた裕奈の手は力を失い垂れ下がった。

「・・・ゆー・・・な・・・」
「・・・あはは・・・あははははは・・・私が、私が勝つんだ・・・!!みんな死ねばいいんだ・・・!!!」

―――そして無情にももう一度硝煙が吹いた。




その場にはただ静寂だけが残されている。
凹凸が見られる地面には二人の少女が顔を合わせて横たわっていた。

一人の少女はすでに力尽き、瞼をすでに閉じている。
薄れゆく意識の中、その様子を見た亜子は思っていた。
―――日常は人が思っているより遥かにもろく、壊れやすいものなのだ―――と。

「(何で・・・昨日までが当たり前と思ってたんやろ・・・。私はホントに・・・バカやな・・・)」

亜子の頬から悔しさから涙が伝ってくる。
しかしその涙を拭ってくれるものはもう自分の側にはいない。
近くても―――遠い。顔がこんな近くにあっても話すことも笑顔を見ることや出来やしない。

「(ゆーな・・・守れなくて・・・ごめんな・・・ウチも・・・す・・・ぐ・・・)」

眼前に倒れた裕奈の頬をそっと撫でた後、亜子もゆっくりと―――瞼を閉じた。



森にまた銃声が響く。断末魔が遠くから聞こえる。

―――まだ惨劇は終わらなそうにはない。

【明石裕奈、和泉亜子、死亡。】
【バトルロワイアル終了まで 3−A 残り?名】
  
 この作者17氏GJという空気をものの見事にぶっ壊すだけの短編 〜完〜
 

    [管理人の短編一言感想集] その78
    一瞬、スマ○ラをやっているのかと思いきや・・・?
    うん、続きがきになってしまいました。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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