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短編No53 人間との出会い

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/12/16(土) 18:06:03
ネギま! バトルロワイヤル


ここはとある小さな島です。
私は生まれてからずっとこの島で暮らしています。
昔、母に聞いた話によると私が生まれる少し前には人間という生き物がいたそうです。
島の一部分に密集している、今では鼠の巣と化した建物に彼らは住んで、そして突然居なくなったと聞いています。
よく食べ物を分けてもらい恩を感じていたのに何処へ行ってしまったのか、と両親はよく嘆いていました。
私も一度会ってみたいと思っていましたが、まさか本当に会えるとは思ってもみませんでした。


木漏れ日が照らす森の中、木の枝にとまってぼんやりしているとそれは草木を分けて現れました。
初めて見る生き物、しばらく見てそれは人間であると分かりました。
二本の足で立って移動し体に布を纏っている、母に聞いた通りです。
その人間は私を見ると荷物を下ろして木にもたれる様に座りました。
そして手を胸の前まで上げてこちらを見ながら口笛を吹きました。
人間には不思議な力があるのでしょうか、その姿にはとても安心感があります。
私は飛んで木と同じようにその褐色の指にとまりました。



「きれいな森…。」
人間は静かに言いました。
「あなたはいつもここで遊んでるの?」
人間の言葉は私には分かりません。
でも、なんとなくですが悲しんでいるように感じられました。
「私は…無理矢理この島に連れてこられたの。ある男と兵士達によって。」
私は手の甲を突いてみました。
しかし気付かなかったようです。
「あの男は…殺し合いをしろと言った。そして私達を逃げられないようにしてこの島に放したの。」
少し強く突いてみましたが、又しても反応はありませんでした。
いつの間にかその人間の目からは水が溢れて頬を伝っていました。
「怖かった…今も怖い…もう私は二人も殺した。クラスメイトを二人も…。」
私は肩まで行きその頬を突きました。
今度は気付いたようです。
手を私の前まで上げてきたのでもう一度その指にとまりました。
「驚かせてごめんなさい、小鳥さん。」
もう片方の手で人間は顔の水を拭いました。
私はもう一度手の甲を突きました。
「…ありがとう。」
人間はそう言って上を見上げました。
「本当にきれいな森だね。」



しばらくして私は地面に降りて遊びました。
「…。」
人間は荷物の中から何かを取り出し、千切りながら私に向かって投げてきました。
食べてみるとふわふわしていて、とてもおいしかったです。
「…。」
ふと人間はその食べ物を千切る手を止め、何かを思ったのか荷物を持って立ち上がりました。
私は何かあるのかと思い飛んで肩にとまりました。
「ついて来ちゃだめ。すぐ戻ってくるからここに居て。」
そう言って人間はさっきの食べ物を千切らずに横へ投げました。
私はそれを見て降りていって啄みました。
気が付くと、人間は茂みの向こうへ去っていました。

それからその人間とは会っていません。
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    [管理人の短編一言感想集] その53
    先ほどのNo52の短編とは、また異なるザジの姿。ザジの視点。
    どちらかというとこちらのザジのほうが新鮮味がある。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
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