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短編No49 IFの世界〜さよが主催者だったら〜

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/11/09(木) 01:17:46
ネギま! バトルロワイヤル


「やっと二人きりになれたなあ、せっちゃん……」
「お嬢様……」
足元に転がっているのは神楽坂明日菜と早乙女ハルナ。
共についさっきまでは生きていた。一緒に生還を約束した友達。
それが今では動かずに虚ろな目でただ転がっているだけ。
目の前には最愛のお嬢様。この二日間で最も望んだお嬢様。
ざくざくと落ち葉を踏みしめて歩いてくるその手には、夕凪が握られている。
美しかったその刀身も今や血糊で汚れてしまっていた。
「うち、もう後戻りできひんのや……」
夕凪がゆっくりと沈み込んでいく。
不思議と痛みは無かった。
「なあせっちゃん……なんでうちのこと止めてくれなかったん?」
口からは血が溢れ、答えることも出来ずにただ木乃香の泣き顔を見ていることしか出来ない。
「お…嬢さ……ま……強く…生きて……」
「いやや!せっちゃん!」



あのー…」
「15番桜咲刹那死亡で優勝は13番近衛木乃香ですね。迎えのヘリを送りましょう」
「しかし一次はどうなる事かと思ったけど、無事に終わって何よりですね」
迷彩服の男たちが忙しく動き回る中、その場に一人の少女がいた。
僅かに透けて見えるその少女は部屋の中央でふわふわと浮かんでいる。
「あのー……」
再び呼びかけてみるが男たちは聞こえていないかのように動き回っている。
少女の名前は相坂さよ。3−A出席番号1番。
諦めたさよは辺りを見回すと、高級そうなソファにもたれて眠っている男にそっと手を触れて力を込める。
次の瞬間、男は勢い良く立ち上がって口をぱくぱくさせ始める。
「相坂です。これで今回のバトルロワイヤルは終了です。自衛隊の皆さん、ご協力ありがとうございました。」
男はそれだけ言うと、またソファに崩れ落ちた。
数回目となるこの奇妙な現象にも、男たちには既に免疫が出来始めているようで驚く様子はあまり見られない。
自分たちには見ることの出来ない主催者に対して敬礼をする者も何人かはいたが、ほとんどは話が終わると作業に戻っていた。
モニターの向こうにヘリが降り立つ中で、ソファの男だけがうなされていた。

後日、麻帆良に戻った木乃香を待っていたのは政府からの口止めと取調べだった。
しかし、この計画に反対していた一部の自衛隊員が密告、事件は明るみに出る事となった。
木乃香は麻帆良学園を退学して、京都の実家で静かに暮らす事を選択した。
後の調査で、この計画は総理大臣がうわごとの様にいきなり発案したものだったというのが判明したが
総理本人は「言った覚えは無い、何かの間違いだ」と否定し続け、結局うやむやのうちに事件は風化していくこととなる。


ある晴れた日の昼下がり、麻帆良学園上空にて
「一気に31人もお友達が増えましたー。嬉しいなあ」
「え…さよちゃんそれってどういう……?」
「ヒ、ミ、ツ、ですよw」

(終)
 

    [管理人の短編一言感想集] その49
    さよが主催の短編。
    さよ、何だか怖い・・・。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
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