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短編No48 2度目のバトルロワイヤル-完結編-

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/11/05(日) 12:35:39
ネギま! バトルロワイヤル


あの事件の後、裕奈達はカウンセリングという名の取り調べを受けた。
裕奈は自分に対しては厳しい罰があると覚悟していたが、実際は逆だった。
6割の生徒を救ったことが高評価を得ていたのだ。
バトルロワイヤルでは過去生き残った生徒は多くても数人だったので18名という人数は飛び抜けて多く上出来な数字だった。

だが、裕奈は12人の生徒を救えなかった責任というものも感じていた。
裕奈はお咎めなし、だが裕奈の希望により2年の臨時教員契約を1年に短縮。要するに今の生徒の中等部卒業までは責任を持つと言うことだった。
生徒達には魔法世界の事を話さないようカウンセリング。
エヴァについては裕奈のクラスへ編入し復学が認められた。
そして3週間の月日が流れた。

週末の夕方、裕奈はバスケ部の顧問が終わりエヴァの家に向かっていた。エヴァから話があるということだった。
裕奈はエヴァの家の呼び鈴を鳴らすと古が出てきた。
「くーふぇ、その格好……。」
古はメイド服を着ていた、おそらくこの家の主エヴァが着せたのだろう。
この家はエヴァが消滅してからいつ帰ってもいいように手入れをしていたが、あの事件のこともありここを裕奈、美砂、古、のどかの寮として使うことになった。
その後、中学卒業後留学することになったのどかと高校卒業後裕奈と美砂が出て行って以来、
古一人でこの家を管理していた。がいまエヴァが帰ってきたためエヴァと古が共同ですんでいた。

「エヴァンジェリンさんに無理矢理着せられたの? まったくエヴァンジェリンさんのわがままにも困ったものだ」
裕奈はダイニングに向かう、そこにはエヴァが待っていた。
「エヴァンジェリンさん、くーふぇにメイド服を着させるのはやめてください」
「なぜだ、この家の主は私だ。主の言うことを聞くのは当然だろう」
「くーふぇはこの家を一人で守っていたのですよ、それなのに」
「ではなぜ、ぼーやや宮崎のどかや柿崎美沙がここをラブホテル代わりに使っているのを止めなかったのだ?」


ネギ、のどか、美砂はこの家で愛を確かめ合っていた事が多かった。このことはチャチャゼロによってエヴァに知らされエヴァが大激怒することになった。
エヴァが帰ってきたことを喜び、はるばる会いに来たスプリングフィールド夫妻はエヴァも喜ぶだろうと思ってきたが、
実際は怒りを静めることに必死になった。ネギ、のどか、美砂はもうひたすら平謝りを繰り返すだけだった。
「けどあの色ボケ3人がいまのくーふぇの言うこと聞くと思いますか?」
「まあ、そうだが、明日からは好きな服を着ても良い。 ……明日には居ないのだからな。」
「やっぱり、その話でしたか」
エヴァは次元の狭間に巻き込まれてから過去未来をさまよう存在になっていた。
いつ違う世界に飛ばされるかエヴァも分からないが予兆は感じることができるようになっていた。

「なあ、明石先生。お主は感じないか、私達が何者かが書いたシナリオ通りに動いていることを」
エヴァはこの世界に戻ってきてからの疑問を裕奈に投げかける。
あまりにも都合が良くこの世界に帰ってきて裕奈達を助ける、そして暫くしてこの世界から違う世界に飛ばされる。
そして趙錫祢と絡繰黒々介という存在。まるでなにかを試すようにいた2人。エヴァは何者かの意志を感じずにはいられなかった。
「エヴァンジェリンさんもですか、私もなにかの意志の力を感じています」
裕奈も自分の周りに起こったことを話す、ウェールズの教会で感じた妙な気配、趙錫祢の存在、そして何者かに時々見られているような感じを話す。
「そうか、真実はわからないが何者かの嘲笑を受けていることは間違いないな」
裕奈は雰囲気が暗くなったのを察し話題を変える。
「いまの私達には分からないことですし、それより最後の夜です、楽しみましょう、彼女達も来るでしょうし」
「彼女達? 呼んだのかあいつらを!?」
「ええ、エヴァンジェリンさんのことだから呼ばないだろうと思いまして。」
すると呼び鈴が鳴る


古が開けると裕奈の生徒達18人が来ていた。
「エヴァンジェリンさんのお別れ会に来ました」
「エヴァンジェリンさんにはお世話になりました」
「エヴァちゃん、どうしていっちゃうの!? 私のことが嫌いなの!?」
「こら、抜け駆けはずるい、私はどうなの!?」
「みんな、入って今日はみんなでエヴァンジェリンさんを送りだそう」
裕奈が生徒達を制し、場を仕切る。
こうして送る会が始まった。

「こんなに可愛いエヴァちゃんが次はどんなに過酷な目にあうかお姉さんは心配なの」
「エヴァちゃん、私もついて行っちゃあ駄目!?」
などエヴァを囲むのはエヴァが好きでたまらない連中が集っていた。
裕奈はエヴァが嫌な顔をしつつも本心では嫌じゃないのを分かっていた。
その他の生徒も久々のお祭り気分に酔っている感じだった。
そして深夜になろうとしていた。


「みんな、そろそろお開きだよ」
裕奈が生徒達に言う。
「えー!? 明日は休みだよ。」
「みんな、私達はまだ未成年だよ、夜更かしは駄目だよ」
「雪ちゃん、堅い」
「じゃあ、お子様な私はエヴァちゃんと寝る」
「ずるい、私もエヴァちゃんと寝る」
「あー、みんな静かに」
裕奈は生徒を鎮める。
「エヴァンジェリンさん、最後の挨拶を」
「私がか?」
「はい」
エヴァはこういうのも悪くないと思い挨拶をする。
「私は明日にはいないが、お主達はあの地獄を生き延びた人間だ、強く生きて欲しい。生きることは辛いことだけど、私はお主達は大丈夫だと思っている
でいいか、明石先生!?」
「はい、よくできました。では今日はここにみんなで泊まりましょう」
「どういうことだ、明石先生!?」
「見送りをみんなしたいのですから、いつでも送れるようにここに泊まるのです。」
「やったあ、私、エヴァちゃんの隣」
「ずるい、私も」
そして夜は更けていく。


そして明け方、東の空が明るくなりつつある。
エヴァは家からでて庭でそのときを待っている。他の生徒達はまだ寝ている。
エヴァは長年生きてきたら別れというものが辛いのでこうして人知れず時を待っていた。
「エヴァンジェリンさんらしいですね」
「明石先生か」
「まだ私のことを明石先生と呼んでくれるのですね。」
「約束だからな」
「じゃあ、もう一つ約束してください、また会えるって」
「できないな、だが生きろ、明石先生、そうすればまた会えるかもな」
「そうですね」
「にしても、お前は成長したな全ての面で、8年前はただのうるさいガキで明石教授やあいつに全く似てなかったのに、いまはあいつよりも分別のある人間になっている。」
「けどあのまま成長したかったと思っていることも確かなのですよ、けどあのまま成長するのはいまの私に言わせると『おいおい』だけどね」
二人で会話を続けるうちに生徒達が起きてくる。
「エヴァちゃん!? エヴァちゃん!?」
「庭にいるよ、あそこに!」
エヴァは裕奈に問いかける。
「明石先生、まさか」
「ええ、ちょっと目覚ましの魔法をね。」
裕奈はエヴァに微笑んだ瞬間。空間が裂けた。


ブラックホールの風はエヴァを包み込む。
「エヴァちゃん」
「行っちゃあ駄目だよ」
裕奈は生徒達がエヴァに近づかないように魔法で見えない壁を造る。
生徒達は見えない壁に当たってエヴァに近づけない。
「また会おうぞ」
それがエヴァの最後の言葉だった、エヴァは後ろを振り向かずブラックホールに吸い込まれていった。ブラックホールはエヴァを吸い込むと消滅した。

「ううっ…、エヴァちゃん。」
「絶対だよ!」
生徒達、特にエヴァが好きな生徒達はショックだった。自分たちを救った恩人でもあるから。裕奈は生徒達に声をかける。
「何時までも泣かないの、エヴァンジェリンさんがいつ帰ってきてもいいように、エヴァンジェリンさんの家を掃除するよ」
「えーっ!」
一部の生徒からブーイングが起こる。
「エヴァンジェリンさんが好きなんでしょう、先生もここに住んでいて掃除していたのだからね」
「みんな、先生の言う通りよ、エヴァンジェリンさんのために掃除をすることがエヴァンジェリンさんも喜ぶよ」
雪がすかさずフォローを入れる。

裕奈は雪を見て、彼女が居なかったらバトルロワイヤルから帰ってこられなかったなと改めて思う。自分と生徒達を大事につないでくれた雪。
雪の言葉に生徒達もエヴァの家に戻り掃除を始める、裕奈は雪に近づき礼を言う。
「ありがとう、これからもよろしくね、雪ちゃん委員長。」
「明石先生こそ卒業までよろしくね。」
「ああ、よろしく。」
裕奈と雪は一緒にエヴァの家に駆けていった。


……。
「これにてこの世界の修正はおしまいネ。」
林の中から見ていた黒い影がでてくる。
「いろいろ実験ができて、外の世界の人間も有意義だったネ。
では私はまた次の世界で外の世界の皆さんに会うのを楽しみにしているネ。
また、お会いしましょう。」
言うと黒い影の姿はもうどこにもなかった
 

    [管理人の短編一言感想集] その48
    この短編で裕奈の2度目のバトルロワイヤルシリーズは終了。
    こういう特定の部のアンソロジーものの短編もいいなって思います。黒歴史の作品でなければ・・・・・・。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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