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短編No44 殺人鬼夕映

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/07/10(月) 00:41:22
ネギま! バトルロワイヤル


埋めがてら没ネタ張る
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「銃声………それも近いッ」
これまで何度か耳にしたことのある乾いた音、しかし今度のは大分近くで聞こえた。
お嬢様を探し出すという本来の目的もあるのだが、それとは別に近くで誰かが襲われているとあれば見過ごせるはずがない。
一メートルもある野太刀を肩に乗せ、刹那は音の聞こえた方へと走り出した。

それが2、3分前。
そしてこれはほんの数十秒前、私と宮崎さんはこうして視線を交わしていたのだが、明らかに様子が変であった。
後ろでヘルマンがおびただしい血に濡れて横たえているのも一層緊張感を醸し出す。
程なくして私はようやくその理由を悟ったのだった。

つまりこうだ、宮崎さんは今までヘルマンと行動を共にしてきたのだが、この辺りで誰かの襲撃に遭い、
どういう経緯かは解らないがヘルマンだけが殺され、当の宮崎さんはこうして1人取り残されたのだ。
刹那がそう考えたのも全く不自然ではないだろう、むしろ普通であるといえる。
ではこんな時はどんな言葉をかければいいのだろうか、となるべく急いでその答えを導き出そうとしている最中に、
『皆、また新しい死亡者が出たようじゃ。ヘルマン、と言ったかの…』
「あ……」
これでヘルマンの死は正式に決定された。
刹那の悲しみが一層深いものとなる。
どうしようもなく、ただ涙の感触を頬に受けるだけ。
刹那は顔を上げてのどかの方を見た、その時は私と同様に悲しみの極みで動けなくなっていると思っていたのだが。
驚くべきことに刹那に向け発砲の体制をとっていたものだから、さすがに事態を飲み込めなかった。

そんなこんなで今、この刀でのどかの握る拳銃から弾き出された銃弾をなんとか逸らすことに成功した、というわけだ。
「な……ッ!!」
まさか、へたりと座り込んでいる宮崎さんがいきなり銃を撃つとは、皆を信用しすぎた私の警戒が甘かったのか。
とにかく予想だにしていなかったので完全に虚を突かれてしまったことは反省すべきであり今後の課題でもあるだろう。



そんなことを考えながらとりあえず身を隠すため近くの太めな木の陰に隠れる。
特別話すことも無いのだろう、学園長の放送は何時の間にやら聞こえなくなっていた。
「      」
のどかが何かを呟いたようだが上手く聞き取れない。
その声を聞き取ろうと耳を澄ます間もなく、銃声のおかわりが届いた。
弾は刹那が隠れている木の中心に黒い穴を作り上げ、剥がれた皮がばらばらと散り落ちる。
さてどうしたものか。
なぜ宮崎さんと命がけの戦いをする羽目になったのか、今はどうでもいい。
選択肢として逃げるか応戦するかの二つしか上げられず、できれば後者は選びたくなかったのだが、
このまま逃げ切ったとして、その場に残ったのどかがまた誰かと遭遇したとき、
やはり誰彼構わず発砲するのではないかと思うと、
結局放っとくわけにはいかず最終的に応戦することを決断せざるを得なかったのは、
誰かにそれは大義名分だと追求されれば口ごもってしまうだろう…。
しかし、今はそうするしかないのだ。

「ふ……ッ!!」
猛然と飛び出した刹那に向けてのどかが両手に備える拳銃を乱射する、が、そこは流石の神鳴流剣士。
のどかの左右の腕から次々と生み出される銃弾の数々は横を通り過ぎ、
後ろの木に突き刺さる音が風を切る刹那の耳にもしっかりと届いてきた。
確かに気も魔法も使えないのだが、元々の身体能力においても一般人のそれを凌駕していると刹那は自負している。
さらに違うだろうは経験の差。
のどかがこれまでまともな学生生活を行ってきたならば銃を握ることはこれが初めてなのだろうが、
そのまるで狙いのついていない適当な乱射でも数撃てば何発かは命中するモノだ。
けれど銃口の向く角度を見定めれば銃弾の軌道は大方予想がつくので、
避けれずとも刀をその線上に持っておいとけば後は自然と弾き逸らしてくれる。

ギィィィン

この通り。
とまあ難なくのどかの背後に回れた理由としてはこのくらいだろう。


「どっか行けよ」
右手を振り上げるのと同時に手刀の形に固め、それをのどかの延髄目掛け打ち下ろす間際に、
虫の鳴く音にさえ掻き消されそうな程細く掠れた囁き声だったが、
刹那の判断が正しいのならそう聞こえたはずだ。
どっ、と鈍い音と振動の後に、のどかの体は重力に身を委ねするすると地に陥落していった。

「……………」
暫くの間、まさしく字の如く大の字に寝そべっていたのどかの様を真上から見下ろして観察していたが、
当然ながら気絶して意識の無いのどかが動くことは無く、これからも数時間は動かない見込みなので、
これで一先ずは安心だろうと胸を撫で下ろし、片膝を着いてのどかの体を抱き起こす。
そのままずるずると引っ張り近くの木の根元に持たれ掛けさせようと思ったのだが、
これではのどかの無防備な姿をおめおめと晒して格好の餌食とさせてしまうのではと思い直し、
脇にある草の塊の裏に引きずってとりあえず身を隠す形にしておいた。
「………のどかさん」

それから視線をヘルマンへと移す。
体中に銃で撃たれた形跡があり、それら穴からなみなみと溢れ出た血液に浸った有様は、
さっき見たエヴァンジェリンと比べても一段と酷く惨たらしい光景。
「…………」
出る言葉が無いのは刹那でなくても当然のことだろう。
正直、気持ち悪い。
幾らこれまで数多の死闘に陥りその難を乗り越えてきた私でも、
これ程までにグロテスクな殺され方は初めてお目にかかったというものだ。
暫く経って、ヘルマンにエヴァンジェリン同様でき得る限りのしかるべき処置を施してから、
やはりエヴァンジェリン同様に、両手を合わせ合掌。
それにしてもなぜこう死体ばかりと遭遇するのだろう。
もう、見たくないです。
…当たり前だ。


消沈の勢力がますます軍旗を掲げ回っていたが、こうしていてもコトは進展しない。
細い指で涙を拭い、刹那は1つの気掛かりを残したままその場を後にした。

「(ヘルマンさんは……のどかさんに………?)」
これまで幾度と無く死亡報告を耳にして、ああ、誰かが友達を殺しているんだ、
と嫌々ながらも信じざるを得なかったのだが、実際のところ、
ああして死体とその傍らで銃を握るのどかを見ても、彼女がヘルマンを殺したとは思えなかった。
と言うより、考えも及ばなかった。
こんな状況でもまだ皆のことを信じて止まない刹那の過ちはのどかを自由にしておいたこと、
そしてデイバッグや拳銃共々その場に放置してきたことである。



それにしても味気ない
この際ジュースとは言わないが、せめて味のある飲み物が欲しいものだ
まあこの状況でそんな贅沢言っていられない、水があるだけでも感謝すべきなのか

あの坂道で美空を惨殺した後、
新たなターゲットを求め歩いていく内に島を縦に横断する結果となってしまい、
さらにその間誰一人として見かけること無かったのでいささか気落ちしていた所に、
割と近くで数回続いた銃声と、その後直ぐに島内に響いたヘルマンの死亡報告が聞こえてきたのは正直救われた。
つまり辺りでヘルマンが殺され、と言う事は、殺した人間も近くにいるわけで。
やっと二人目、会える
殺せる

しかしそう期待して銃声の聞こえた方角に体育の持久走さながら駆けて行くも、
頼りがこの辺に響いた銃声のみであっては容易にその場所を突き止められるわけもなく、
半ば諦めながらようやくヘルマンの死体を発見したのはそれから30分後のことだった。

「ふーん………」
無残な死骸を目に私は溜息ともとれる頷き声を漏らす。
「流石に遅すぎましたね」
その言葉を最後にヘルマンからの関心を綺麗さっぱり投げ捨てた夕映は、
今は見ぬ殺した者の行方を気にするばかりだ。
しかし地面を見る限りそれらしい足跡は無数にあり、どれを辿っていけばいいのか皆目検討つかないので、
非常に残念だがここは諦めてそこに転がっている銃を手に入れるだけで納まるとする。
「まあこれはこれで思わぬ収穫ですが」
二丁の拳銃を拾い上げる夕映。
当然補充用の弾もあるはずなのでヘルマンのデイバッグに目をやろうとしたとき、こう思った。
おかしい、と。


「……なぜこの銃を置いていったですか」
そう、ヘルマンを殺した生徒のことだ。
なぜ武器を拾っていかなかったのだろう。
しかも2丁あると言う事は、そいつは自分の武器すらも放っぽり出して逃げたのか。
そこまで緊急な事態が起こったのだろうか、それとも何か複雑な事情が…

とりあえずヘルマンのデイバッグから予備のマガジン等を拝借した夕映は、
そこでもう1つデイバッグが残されていることに気づく。
「一体誰が…………!?」
そして、
ついに発見してしまった。
もう1つのデイバッグから伸びる不自然な跡。
それは土を盛り返して奥へと続いており、何かを引きずった跡だということは一目瞭然であった。
「なーにがあるですか…」
サブマシンガンを手に構えた夕映はじわりじわりとその跡を辿る。
それは数メートルも行かない所で消えていた。
変わりにあるのはぼこぼこ幹の大木と、それを取り巻く背の低い草木と、ちらりと覗くチェックのスカート…

タララララララ

撃った。
その柄が目に入るや否や、何を思うでもなく、真っ先に発砲した。
まぁそれが誰であろうと殺す予定であった夕映ならば当然の行動といえばそれきりだが。
無数に弾き出された弾丸は草の塊を貫通して行き、結果は目で見て取れないが、
しかし確かに感じた手ごたえに夕映は満足げな表情を浮かべる。
よし、しとめた
そう確信しても尚、さながらシューティングゲームのような感覚で撃ち込んでいく。
案外簡単な作業だった。

やがて弾が尽きたところでようやく銃を下げた夕映は、
たった今自分に殺された生徒の正体を確認するためぽつぽつ赤く染まった草の中へと歩を進める。
「……なんだ、のどかですか」
夕映が見た死体の顔面は、弾のせいで片側砕けた頭から飛び出した脳みそっぽい物と、
だくだく流れ出る濃い鮮血のおかげで誰と判別することもできなかったのだが、
髪の色、髪型、そのへんから推測すればその残骸が宮崎のどかであると大方見当はつく。
「こんなトコで何してたですか…?」

さて、二人目を殺すことに成功したわけですが。
のどかでした。
原稿用紙の半分はおろか一行にも満たない程の短い感想だが、それ以上の言葉は何も浮かばない。
「順調ですね」
あっちに転がっているヘルマンとその死に様を同じくするのどかを一瞥した後、
夕映は身を翻して数歩来た道を戻り再び支給品調達に取り掛かり始めた。
「次はどうするですか……」
死んだ人間に興味の無い夕映にとってのどかの存在はもはや頭の中から消えつつあり、
当然今まで過ごした3年間で見てきたのどかの奇行の数々も記憶から排除される予定なのだが、
それによって夕映に支障が来るわけでも損害が生まれるわけでもなく、
むしろあんなヘタレのことなど覚えていても脳の容量が勿体無いくらいなので、
さっさと脳内ゴミ掃除を始めて欲しい物だった
「あと何人ですか……全く面倒です」
気絶したまま知らずの内に殺されてしまったのどかを背に、夕映はマガジンに弾を込め始める。



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他にも書き直さなきゃいけない箇所が山ほどあるな

まあこんな駄文流してくれ
 

    [管理人の短編一言感想集] その44
    名無しさんによる長編没ネタ集。
    ヘルマンが参加しているのがなぜ?という疑問やのどかを殺しても動じない夕映が新鮮でした。
    これの長編を見て見たい気もするけど没ネタだし・・・。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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