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短編No35 2度目のバトルロワイヤル

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/05/12(金) 21:44:06
ネギま! バトルロワイヤル


あの惨劇から8年の歳月が流れた。
ネギ君とのどかちゃんは結婚、柿崎も同じく彼氏と結婚。
くーふぇはいまではなんとか立ち直り麻帆良学園の出店で調理師として働いている。
左足を失ったくーふぇも生きる道を見つけた。
で私、明石裕奈はなにをしているかというと


「えー、ここどうなるか分かる奴!!」


麻帆良学園中等部で臨時教員していたりする。
あの後、私はお父さんより魔法世界のことを知り、魔法、体術、神鳴流を学んだ。
長い学生休みはそれらの特訓に明け暮れ、高校に入ってからは勉学主体の生活に切り替えた。
大学は表向きは体育学部に進んだ、だか本当は魔術と人間の体について学んでいた。
その後大学院に通う予定だったが、学園長より見聞を広めることということで2年間臨時教員として麻帆良学園中等部に戻ってきた。
お父さん、詠春さん、刀子さんの強いすすめもあったからだ。終われば大学院に戻ることにしている。
しかしこうして教師になってみると先生もいろいろ考えていて大変だったなと思う。
あの事件が起こる前の私は迷惑ばかりかけていた問題児だったなと少し自責の念にとらわれる。
また彼女達を見ているとあの事件が起きなければどうなっていたかを考えることがある、無駄だと分かっていても。

ピーーっ。「はい、今日の練習はここまで」
私はバスケ部の顧問もしている、練習が終わった彼女達は明日の麻帆良学園祭の話題で持ちきりだ。
「裕奈先生、さよならー!!」
「またあしたー!!」
彼女達もそれぞれ寮に帰っていく。


「さあて、私も帰るか」
私は教職員用のロッカーに向かう、話には関係ないがバイク通勤だ。歩いていると私のクラスの委員長雪ちゃんに会った。
「雪ちゃん、まだ残っていたの?」
「はい、図書館探検部の部活があったのとクラスの出し物の最終チェックがありましたので」
「そうかーー、あんまり無理しないようにね。辛かったら私に言ってね。」
「はい、でも大丈夫です。けどその時はよろしくお願いします。」
クラス担任も大変だが雪ちゃん委員長のおかげでずいぶん助けられている、生徒の中で一番親しい存在といえる。
「あいかわらずモテモテね、明石先生」
そこに現れたのはいまは同じ職場の先輩となった二ノ宮先生だった。
「もう!!、二ノ宮先生からかわないでください。」
「アハハ、ごめんごめん、つい。」
二ノ宮先生はあの事件の後、私を自分の担当クラスに編入させていろいろ面倒を見てくれた、
教員となったいまは仕事の愚痴とかを飲みに行ったときいろいろ聞いてくれたりする。
「明石先生は中学の頃も女の子にモテモテだったからね、面倒見も良かったしね。」
「二ノ宮先生!!」
「ゆーな…。」
呼ばれて声の方を振り向くと古菲が立っていた、不安でいっぱいのような顔で。
「二ノ宮先生、雪ちゃん。ごめん、私はこれで、雪ちゃんは終わったら早く帰るようにね。」
「わかりました、明石先生。」
「じゃあ私も職員室に戻るね。」
二人と別れ古菲と共に第2宿直室へ向かう、古菲がこの表情になったときは情緒不安定になっている証拠だ、
私はしっかり話を聞いてあげるために宿直室に向かう。


「でどうしたの? くーふぇ」
「夢をみたアル、ゆーなが再びバトルロワイヤルに巻き込まれている夢…」
以外だった、いままで古菲がバトルロワイヤルに巻き込まれる夢はみてもそれはあくまで古菲だけがでていたからである。
「安心してよ、もう修学旅行も終わったし、臨海学校はまだ先だよ、それに前の修学旅行は私を含め神鳴流の使い手で固めた京都旅行だったし、臨海学校もその予定だよ」
安心させるように私は優しく語る。
「ちがうアル…、すぐ近いうちに起こるアル!!、ゆーなが巻き込まれるアル。」
くーふぇは必死に訴えるが私は彼女を安心させるように言葉を続ける。
「もし私が仮に参加してもそれに対する対策はちゃんとあるし、私はあの時とは比べ者にならない位強くなったしね、
いまの私はくーふぇを含めたかっての武道四天王より実力は上だし、
神鳴流も桜咲さんまでのレベルにはいっていないけど使えるし、この麻帆良学園でも最強の魔法使いの一人だよ。」
「でも、でも」
「私に何かあってもネギ君、のどかちゃん、柿崎、そしていまでも古部長としたってくれるみんなが守ってくれるから大丈夫よ」
「そうだけど、私にとってはゆーなが一番アルよ」
かっての古菲からは考えられない言葉の数々、立ち直ったもののかっての天真爛漫さは完全に消え失せていた。
「それにくーふぇの作る料理まだまだ食べたいもん。」
「ゆーなぁぁ!!」
裕奈に抱きつく古菲、何度も繰り返されたシーンである。
「くーふぇ、いまから何か作って欲しいな」

その2人を見る一つの黒い影があった。
「フフっ、これから面白いテストケースを始めるネ、さあてどういう展開になるか楽しみネ」


学祭の初日が終わりクラス全員そろっての打ち上げが始まった。
「明石先生、お疲れさまです。」
「雪ちゃん委員長もお疲れさま、頑張ったね。」
裕奈は雪と話しつつクラスのはしゃぎぷりに目をやる。
思えば自分が音頭をとっていたなと思い出した。
裕奈は一人の生徒に目を留めた。


趙錫祢


一部では、かの超鈴音の再来と言われる少女である。
それゆえクローン説や妹説などさまざまなうわさが立っている少女である。
けど決定的に違うところは語尾に「ネ」を使わないところと魔法先生の間では問題児ではないところである。
だか以前から裕奈はなにか危険なものを感じていた。

そして小一時間がすぎる頃、それは起こった。
突然空間が割れ、まるでブラックホールのようにクラスの物が吸い込まれ始めた。
クラスは大パニック、次々と吸い込まれていく生徒。
裕奈は雪を庇いながら、吸い込まれないようにしていた。
だかこのままでは犠牲者がどんどん増えてしまう、なんとか止めないとと思っていると突然何者かの攻撃を受けた、
大した攻撃ではなかったが不意をつかれたのとブラックホールの風と雪を気にしていたためブラックホールの吸引力に捕まった。必死にこらえるが雪を助けようとして動いたのと謎の攻撃を受けブラックホールの吸引力に捕まってしまった。
「しっ、しまった」
気づいたときにはもう遅くブラックホールの吸引力になすがままだった。
「うわああぁぁ」
「明石先生ーーー!!」
裕奈も雪もブラックホールに吸い込まれてしまった。


「う、うっ、ここは」
ハっと目が覚めた裕奈は周りを見渡す、ここは教室!? 
いや違うここは確かに教室だが麻帆良学園の教室の風景ではない。生徒達は無事のようだ。
「明石先生…」
「雪ちゃん、無事ねっ……、そ、それは!!」
裕奈は雪の首をみて驚いた、雪の首についていたものは忘れもしない、あの忌まわしいゲームの証拠。首輪である。
他の生徒達にも同じく首輪がはめられていた。
『なんてことだ、私がついていながら……』
裕奈は情けなかった、自分が居る限りは自分のクラスは絶対にこのゲームには参加できない、
参加する前にゲームを潰すことができると思っていたのである。だか無情にも結果は自分と同じ目にあわしてしまったのである。

「明石先生には首輪が…」
雪の言葉に我に返り、自分の首を確かめる。なぜか裕奈の首には首輪がはめられていなかった。
それから体のどこを見てもなにも付けられてはいない。
『なぜだ……』
もしここにいる人間でバトルロワイヤルする場合、自分が一番弓を引く危険人物で尚かつそれだけの実力も持っている。なのになぜ首輪がはめられていないのだ。
裕奈が疑問に思っていると、天井から巨大なスクリーンがおりてきた。
そしてスクリーンに映った人物。

趙錫祢

彼女こそこのゲームの主催者である。


「皆さんにはバトルロワイヤルをしてもらいます。
知っている人も多いので基本ルールは省略します、知りたい人は荷物と共に渡されるしおりを見て下さい。
なお趙錫祢主催のバトルロワイヤル特別ルールを発表します。
普通は無人島を使うのですが趙錫祢のバトルロワイヤルは趙錫祢が作ったこの特殊空間で戦ってもらいます、
分かりやすく言いますとマクー空間みたいなものです、あと私はこの空間で3倍の力を発揮できるわけではございませんのでご安心を。
そして次に、そこにいる明石先生、実は明石先生もバトルロワイヤルに参加したことがあるのですよ」
それを聞いて生徒達は驚いた、あの明石先生がこのゲームに参加してたことである、そして生きていることは……。

「で明石先生にはどうしてもらうかここで選択してもらいます、私と共に主催者としてゲームを管理するか、みなさんと一緒にゲームに参加するかです。
明石先生が参加した場合ですが、特別ルールといたしまして明石先生を殺した人はその時点でゲーム終了となり、
勝ち抜けることができます。けど気を付けて下さい、あくまで一人だけですからだから皆さんで協力して殺すのは無効になります。」
究極の選択肢である、どちらにしても生徒に刃を向けることになってしまうのである。
「で先生、どうするのですか? 生徒達とは違って恵まれている立場なのですから早く決めて下さいね。」
教壇の台が割れ、下から首輪が出てきた。
「参加するのでしたらその首輪を自分で付けて下さい、参加しないのでしたらその首輪を破壊して下さい。」
裕奈は一瞬迷った、管理者として潜り込み隙を見て倒すこともできるからだ。
だが自分は教師、かって偽ネギが出てきた時の状況を知っている裕奈の答えは決まっていた、
いかなる理由でも生徒達に裏切ったとは思わせたくない、たとえ上手くいっても生徒は傷つくのだから。
裕奈は首輪をとり自分で首輪をはめる。
カチッ 首輪がロックされる音が鳴った。
「ではゲームを始めます。」
趙錫祢がゲーム開始を宣言した。裕奈にとって始まる2度目の悪夢。

「面白いネ、長谷川サンの時とは違い。歳月が過ぎ、教師となった裕奈サンの人生2度目のバトルロワイヤル。ああ、楽しみだネ。楽しみだネ。」

<終劇>
  
 

    [管理人の短編一言感想集] その35
    この短編は割りと好きです。
    今となっては黒歴史のアンソロジーになってしまったのが残念。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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