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短編No26 IFの世界〜生存率0%桜子編

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/03/12(日) 02:11:33
ネギま! バトルロワイヤル


「桜子もさ……おかしくなっちゃったんだ……」
「…………」

あーあ、出会っちゃった。

どうしてこんなことになってしまったのか?
ほんの些細なこと。
放置されていた鳴滝史伽の亡骸を発見した時に偶然、美砂が通りかかった。
うん、ただそれだけ。
でもこの島で私が命を落とす理由に十分だった。
頭に突きつけられた拳銃は無慈悲なほど冷たい。
冷たさは私の思考をクリアにしていく。

"今回"も死んじゃうんだ。

いつから私は気づいたのか?
殺された後には何事もなかったように学校の教室で目が覚める。
今まで参加していたデスゲームが幻であったかのよう。
でもそれは違う。
数日の日常生活を経て、私達3−Aは無人島へと連れて行かれる。
時間の逆行。平行世界。ループ……。
まるでテレビゲームのリセット。
最初は疑った、ありもしないことだと思った。
でも……たびたび変わる主催者は何度も能力者、魔法という言葉を使っていた。
なら、誰かが時を動かしている?

バトルロワイアルが数日後に行われることを"知っている"私はその事実を周りに伝えた。
まずは美砂と円、信じてもらえなかった上にバトルロワイアルが行われた時、二人は真っ先に私を疑った。
他の人にも話したけど二人と同じ仕草しか見せてくれない。

そう、私以外は記憶の持ち越しはしていない。
みんなは忘れる、私だけ苦痛の記憶を刻み込んでいく…………。

本当は私だけどこか別の世界に置いていかれたのではないか?
ここにいるのはクラスメイトの顔をした誰かではないのか?
広がる不安、眼前の不信、出口の見つからない時間の牢。
どうせ元に戻る世界。
一度くらい…ね…。
あは、あははははははははははは!!!
aaaaaaaaaa……。
目を開くと血塗れた制服で着飾る自分と原型を留めない赤い惨殺空間。
私は生き残った。
それでも壊れた世界は終わらない。
本部に招かれて……そこで記憶がプッツリと切れた。

世界が歪む根底、バトルロワイアルの開催自体を防ぐ。
3−Aを救う唯一の方法である。
しかし、変わる主催者、トップシークレット、闇で蠢く者。
中学生一人ではまったく力が及ばない。
親友の協力も望めない。
最初からこの世界は袋小路だったんだ。
そして、何の抵抗も出来ずに悲劇の朝を迎える。
巻き戻される類似した世界に神経をすり減らされ、自分を守るため何も考えなくなった。
私から笑顔が……消えた。

「何とか言ってよ!桜子!!」
「…………」
「死ぬのが怖くないの!?」
死ぬ?
私は死んでから生き返っているのか?それとも死んでないのか?
どちらにしても……、
「うん、怖くない」
私が迷い込んだ世界はもっと怖いから。

    ドウッ!!

響く音と共に体内への異物の混入。幾度も体験した不快な感覚。薄れゆく意識。
「…あれ………?」
いつもとは少し勝手が違った。
頭に浮かんだ顔は誰よりも優しくしてくれた関わりの薄いクラスメイト。
長い黒髪の似合うクラスメイト。
今はただの他人となってしまった。彼女は何も覚えていないだろう。
そうであっても、私は彼女を見ると安心した。
死ぬ前に彼女の名を口にしてみる。
(…ア………キラ…………)

次の私はもう少し頑張れる。
そんな気がしながら深い闇に抱擁された。

   If 〜ネギまバトルロワイアルが平行世界だったら?・生存率0%桜子編〜
  
 

    [管理人の短編一言感想集] その26
    桜子主役のパラレルネタ。
    こういうパラレルネタを長編に盛り込むのも良いかも。
    そういえば、かつて第8・・・いや、やめておこう。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
    お問い合わせはyuyu_negirowa@yahoo.co.jpまでお願いします。
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