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短編No21 神に選ばれた少女

 
作者:マロン名無しさん
掲載日時:2006/01/06(金) 16:50:09
ネギま! バトルロワイヤル


私は今、この小さな島で、殺し合いをさせられている。
私は神に愛されてはいなかった。現に神は私に「死ぬ」か、「人を殺す」という選択しか与えなかった。
少女は今だ、神に祈りを捧げ、助けを乞いている。
彼女は死にたくもなかったが、人を殺したくもなかった。
彼女の周りには重い空気が流れ、教会を静寂が包む…。

「キーンコーンカーンコーン」

突然鳴り響くチャイムのような音が静寂を打ち破る。しかし少女は何事もなかったかのように、神に祈りを捧げている。
やがて、聞きなれた声が教会に響きわたる。

ネギ「皆さん、こんにちは!それではいつものように、死亡者を発表します。え〜…」

感情のない声で次々と死んだ者の名前を発表するネギ。やがて名前を言い終わると、ネギは最後にこう言った。
ネギ「これが最後の放送になるでしょう。龍宮さん、刹那さん、木乃香さん、あと……、春日さん。頑張って殺しあってください。では…」
放送から数時間経過した。彼女は未だに祈りを捧げている。遠くから、微かながら銃声が聞こえてくる。
銃声は暫く鳴り続けていたが、決着がついたのか…、銃声が聞こえなくなった。

少女は突然立ち上がり、床に散らばっていた銃を手に取った。

私は不運?違う!!私は幸運だ!私は神に選ばれた人間なんだ!私はこの島に潜む殺人鬼を裁くためだけにここにいるんだ…。
そうだ!そうでなきゃこんな所にいる理由がない。これは殺人じゃない…、裁きだ!!
銃を握り締め、一言だけ言った。
美空「龍宮か…、刹那…か。…強そうだなぁ…。…でも、大丈夫!私には神のご加護があるから…」

龍宮「…わざわざお前自ら出向いてくれるとは思わなかったよ。」
龍宮は切株の上で支給されたペットボトルの水を飲みながら言った。
美空「当たり前じゃないですか〜!私は今日、彼方を神の代わりに裁くためにここにいるんですから〜。」
横で笑いながら龍宮の様子を伺う美空。
龍宮(…何を言っているんだ?)
龍宮「…どうした?殺人現場でも見て、気がおかしくなったか?」
龍宮は嘲り笑うように言った。
美空「何言ってるんですか〜?狂ってるのはどちらかと言うと彼方の方でしょう?」
それでも美空は笑顔をやめない。

龍宮「……悪いが、私は神とか…まぁ、そういう類の物は信じていない。」
龍宮は当てが外れた様な顔をして、飲み干したペットボトルを適当に投げ捨てた。
美空「なに言っているんですか!?もし神がいないなら、私がここにいる理由もないじゃないですか?」
龍宮(…コイツ…)
龍宮は立ち上がり、哀れむように言った。
龍宮「本当に狂ったらしいな…。これ以上、狂ったお前を見たくない…。………死んでくれ。」
龍宮は懐から拳銃を取り出し、美空に撃った。
美空「だめだよ〜龍宮!まだ裁きは終わってないんだから…」
ブンッ
龍宮「っ……なに?」
龍宮は想定外な事が起きすぎて、対処できなくなっていた。
まず、龍宮が撃った弾は軽く避けられ、美空の投げた石が右手に当たり、拳銃を落としてしまった。
そこに美空の蹴りがとんで来たのだ。当然、避けられるはずもなく。蹴り飛ばされてしまった。 まぁたいしたダメージではなかったのだが…
龍宮「……なかなかやるじゃないか…。」
美空「いや〜。それほどでもないですよう!」
美空は地面に落ちていた拳銃を拾い、笑いながら言った。
龍宮(不味いな。…コイツ、攻撃に迷いがない…)
龍宮は懐から二丁の拳銃を取り出し、美空にむかって連射した。
美空はさすがにこれはたまらんと言わんばかりに、近くにあった岩陰に隠れた。

美空「さ〜て!どう裁こうかな…。……これを使おう。」
美空は油の入った小瓶と、さっき拾ったボーガンを取り出した。
ブンッ
龍宮(…ん、瓶…。何のつもりだ…。)
龍宮が瓶を避けようとしたとき…
パァン
パリン
龍宮(しまった!!)
美空の放った弾丸が瓶を割り、龍宮は中に入っていた油を丸々かぶってしまった。
龍宮(チッ…銃が…)
美空「あれ〜?龍宮らしくないじゃないですか?そんなのに簡単に引っ掛かるなんて。もしかして、…目見えてないんじゃないですか?」
龍宮「……お前には関係ない。それよりどうやって瓶と油…あとそのボーガン。どこで手に入れた?」

美空「瓶と油は民家から頂きました。ボーガンは明石さんが持っていたものを頂きました。」
龍宮「つまり、明石の死体から奪ってきたということか…。」
美空「まぁ、そうゆうことになりますね〜。」
美空は右手にボーガン、左手に油の入った小瓶を持っている。
ボーガンの棒の先端には布が巻かれてあり、美空がなにをしたいのか、すぐ分かった。
龍宮「私を火あぶりにするつもりか…。」
美空「…業火に焼かれ、自分の犯した罪を反省しなさい。」
龍宮「…それで勝ったつもりか…?」
美空「な、なにを…」
ピン…
パリン
美空「!!」

左手に持っていた瓶が突然割れ、美空の左手は油まみれになった。
龍宮「これで火は使えないな…」
ピン、ピン、ピン…
美空「ぎゃぁぁぁ!!!」
美空の右腕、右膝、腹を鉄の塊が貫いた。
美空「ハァ…ハァ…螺旋鋲か…。まさか銃弾でやるとは…」
龍宮「神へのお祈りは終わったか?」
気が付くと龍宮は美空の真ん前で、見下すように立っていた。
美空「…ハハ…やっぱ勝てなかったか…でも!」
龍宮「!!!」
美空はスキをついて龍宮にしがみいた
。 龍宮「な、なにをするつもりだ!」
美空「そういえば言ってなかったけど…、明石さんからコレも頂いたんだ…。」

美空は塊の栓を口で抜いた。
龍宮「手榴弾!?な、まさか…、自爆するつもりか…。」
美空「自爆?少し違うな…。これは裁きだよ…。あなたが人を殺したね……。」
美空(神よ…!どうか私に…!ご加護を……)
ここで二人の意識は途絶えた。

ネギ「…全滅…か…、意外とあっけなかったな…。」
ネギは龍宮と美空だった二体の死体を冷たく見下した。
ネギ「龍宮さんと相討ちとは…、もし春日さんが生きていたら、…ボクも裁かれていたでしょうね…。神の名のもとに…」
ネギは軽く笑い、その場を去った。

THE END
  
 

    [管理人の短編一言感想集] その21
    神に選ばれた少女・春日美空の物語。
    美空VS龍宮。美空不利かと思いきや、まさかの相討ち。この短編の美空、結構いいね。
    by 別館まとめ管理人(YUYU)
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